登はん能力からみたアライグマとタヌキのブドウ果実食害防止対策


[要約]
アライグマとタヌキはブドウ樹を登り、果実を食害する。アライグマは垂直な鋼管 や針金を登るため、棚栽培でのブドウ園では物理的な手法による侵入防止は非常に困難だ が、タヌキはブドウ樹主幹部にトタンを巻き付ければ防止できる。

[キーワード]アライグマ、タヌキ、ブドウ、食害、防止対策、登はん能力

[担当]三重農研・伊賀農業研究室
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(鳥獣害)、果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
三重県伊賀地域では、近年アライグマとタヌキによるブドウ果実の食害が増大しており、2008年11月にブドウ栽培農家に実施したアンケート調査では、アライグマ及びタヌキの食害はそれぞれ6割と2割の農家にあった。そこで、ブドウ果実の食害防止対策を立てるため、アライグマとタヌキの登はん能力を明らかにし、果実食害防止対策を立てる。

[成果の内容・特徴]
1. アライグマは果実袋を樹上に残したまま三角形に破って果実を食害するが、タヌキは袋を不整形に破って地面に落とすことが多いので、被害にあった果実袋の状況で両種をある程度識別できる(図1)。
2. 飼育施設での試験では、アライグマとタヌキは、ブドウ樹主幹部に有刺鉄線やビニルを巻き付けても、登ることができる(表1)。
3. アライグマは、ブドウ樹主幹部に平トタン(幅60p×高さ90p)2枚を貼り合わせたり、平トタン(直径90p)で作った傘状の返しを針金でつるすと、登ることができない(表1図2)。
4. アライグマは、垂直に設置した鋼管や針金等を登ることができる(表1図3)ので、棚栽培でのブドウ園では、ブドウ樹以外の多数の棚資材に対しても対策が必要となる。物理的な手法による侵入防止は非常に困難であり、電気柵の設置が必要である。
5. タヌキはブドウ樹主幹部にトタンを巻き付けると登ることができないので、対策として有効である(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. トタンを用いたタヌキ食害防止対策は、ブドウ以外の果樹に対しても利用できる。
2. 平トタンを用いたアライグマ食害防止対策は、棚施設を利用しないカキやモモ等の立木栽培の果樹に対して利用できる。
3. 防止対策は、収穫40日前頃から収穫終了時まで設置すればよい。

[具体的データ]
表1 資材別の登はんの成否

図1 果実袋の破り方の違い

図3 針金(資材17)を登るアライグマ左)とブドウ樹(bP)を登るタヌキ(右)

図2 ブドウ樹へのトタン巻き付け
[その他]
研究課題名:総合的な農作物獣害防止対策技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:輪田健二、三井友宏

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