ニホンナシ新品種「なつしずく」の着果管理技術


[要約]
ニホンナシ「なつしずく」について、果重300g以上、糖度11%以上で果形の良好な果実を生産するには、予備摘果を満開20〜30日後、仕上げ摘果を満開50日後頃に行い、2〜4番果に着果させる。仕上げ摘果時の着果量は葉果比30程度を目安とする。

[キーワード]ニホンナシ、なつしずく、着果管理、葉果比

[担当]富山農総技セ・果樹研究センター
[代表連絡先]電話:0765-22-0185
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ニホンナシ「なつしずく」は「幸水」よりも早い8月上中旬に収穫ができ、旧盆前需要に対応できる早生品種として期待されていることから現地への導入も進んでいる。しかし、この品種は栽培年数が少なく一定の果重や糖度を確保できる着果管理方法については明らかになっていない。そこで、新品種「なつしずく」の高品質安定生産に向けた基本的な着果管理方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 1果そう1果の予備摘果を満開20日後、満開30日後いずれの時期に行っても果重、果形への影響は少ない(表1)。
2. 仕上げ摘果を満開50日後に行うと、満開40日後に行った場合にくらべて果重はやや劣るが300g以上の果実となり果形も良好である(表1)。
3. 1番果の果重は大きいが不整形果となりやすい。5番果は整形果が多いが果重は300g以下と小さい。果重300g以上で果形の良好な果実は2〜4番果である(表2)。
4. 葉果比の多少は果重、糖度、翌年の生産に必要な短果枝(花芽)の着生数に影響する。仕上げ摘果時の着果量を葉果比30程度とすることで果重300g以上、糖度11%以上の果実となり、翌年の生産に必要な短果枝が側枝1m当たり15個程度を確保できる(図)

[成果の活用面・留意点]
1. 無着葉花そうや下芽の弱小な花芽については摘蕾で整理する。
2. 仕上げ摘果時(満開50日後)の葉果比30は、側枝1m当たりに換算すると3.5〜4果に相当する。
3. 本成果は、長果枝と短果枝の着果比率が3:7程度とした場合に得られた成果である。

[具体的データ]
表1 摘果時期の違いが果重、果形に及ぼす影響
表2 着果番果と果実品質との関係
図 葉果比と果重、糖度、及び短果枝数との関係(
[その他]
研究課題名:新品種「なつしずく」の生産安定技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:関口英樹

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