トマト独立ポット耕における培養液循環栽培に適する培養液処方
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[要約] |
トマト独立ポット耕の培養液循環栽培において、第3果房開花時期まで山崎トマト処方に比べP、K、Caが多く、Mgが少ない処方を使用し、以後はP、Kが多く、Ca、Mgが少ない処方を使用することにより、かけ流し栽培と同程度の収量、品質が得られる。 |
[キーワード]トマト、独立ポット耕、培養液循環、培養液処方 |
[担当]岐阜農技セ・野菜・果樹部
[代表連絡先]電話:058-239-3131
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
トマトの独立ポット耕は、従来の養液栽培に比べ高収量が可能な少量培地耕であり、岐阜県内外に徐々に普及しつつあるが、かけ流し方式のため環境への負荷が懸念される。一方、山崎トマト処方などのかけ流し栽培で使用される培養液処方で培養液を循環再利用すると、CaやMgが徐々に蓄積し、長期多段栽培では生育後半の収量が減少する。また、トマト独立ポット耕では、播種後2週間程度の若苗を定植するため、着果負担が始まるまでの時期と、着果負担が最大となる収穫始め以後では、養分吸収の傾向が異なる。そこで、トマト独立ポット耕の培養液循環栽培において、かけ流し栽培と同程度の収量及び果実品 |
[成果の内容・特徴] |
1. |
循環栽培用の培養液処方(以下、改良処方)は、トマトの養分吸収量に基づき作成したA処方とB処方の2種類の処方を用いる。A処方は、山崎トマト処方に比べ、Nを基準にして相対的にP、K、Caが多く、Mgが少ない処方で、定植から第3果房開花時期まで使用する。B処方は、P、Kが多く、Ca、Mgが少ない処方で、第3果房開花時期以降に使用する(表1)。 |
2. |
改良処方を用いた循環栽培における給液ECは、山崎トマト処方を使用したかけ流し栽培と同様に、0.6〜1.6dS/mの範囲で管理する。この場合、循環栽培の給液N濃度はかけ流し栽培と同程度で推移する(図1)。 |
3. |
循環栽培における培養液組成は、K及びCaの変動があるものの、栽培期間を通して概ね維持することができる(図2)。 |
4. |
改良処方による循環栽培は、生育後半に減収することなく、長期多段栽培において、かけ流し栽培と同程度の収量が得られる。また、上物率、1果重、果実糖度及び果実酸度もかけ流し栽培と大差なく、同程度の果実品質が得られる(表2)。 |
5. |
改良処方を用いた循環栽培における各成分の施肥量は、かけ流し栽培でN施肥量が40.4g/株、P施肥量が8.8g/株、K施肥量が66.3g/株、Ca施肥量が18.4g/株、Mg施肥量が8.6g/株であることに比べ、Nで25%、Pで18%、Kで20%、Caで54%、Mgで68%削減される。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
本試験を実施した原水には、硝酸態Nが0.21me/L、Caが0.90me/L、Mgが0.34me/L、Naが6ppm含まれる。 |
2. |
原水にNaを多く含む場合は、培養液にNaが蓄積するため、給液ECをかけ流し栽培に比べ高く設定する必要がある。 |
3. |
改良処方のN濃度におけるアンモニア態N濃度の割合は、培養液循環によるpH上昇を抑えるため、山崎トマト処方より高い設定としている。使用する原水のpH及び緩衝能により、アンモニア態N濃度の割合を変更する必要がある。 |
4. |
トマト独立ポット耕については、不織布製ポットを利用したトマトの多収少量培地耕「独立ポット耕」(平成19年度研究成果情報)を参考とする。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:トマトの独立ポット耕による培養液循環システムの開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:安田雅晴、越川兼行、勝山直樹、渡辺秀樹、堀之内勇人
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