クローラ走行型ハンマーナイフモアによる茶園の台切り更新法


[要約]
茶園の台切り更新にクローラ走行型ハンマーナイフモアを活用することで更新作業が省力化でき、傾斜地や小区画茶園でも作業ができる。作業後、残存茶株の損傷が激しいが、損傷部の切除は必要ない。また、下垂発根枝も残しておいた方が早期に株張りを確保できる。

[キーワード]クローラ走行、ハンマーナイフモア、茶園、台切り更新、省力化

[担当]三重農研・茶業研究室
[代表連絡先]電話:0595-82-3125
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
近年、土木分野では河川敷等荒野での除草機としてクローラ走行型ハンマーナイフモアが用いられているが、茶園での導入例として改植時における地上部破砕・せん除処理での利用が報告されている(竹若2003)。
 そこで、この処理を台切り更新として位置付け、回転式フリーハンマーによる激しい物理的損傷で断裂した残存茶株における枝条再生状況を明らかにし、簡便・省力的な台切り更新法について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. クローラ走行型ハンマーナイフモアは、機体の前面に回転式フリーハンマーを装着した除草機で、搬送が容易で傾斜地でも作業ができる(図1表1)。
2. クローラ走行型ハンマーナイフモアを茶園に使用すると、直接茶うね上で茶樹を破砕しながら進行でき、2回の作業に分けて(刈り高を1回目地上約30p、2回目約15pに設定)行うことで枝条を残すことなくせん除処理ができる(図1)。10aあたりの作業時間は約1時間で、刈り払い機を用いた人力によるせん除作業に比べ省力化できる(表1)。
3. せん除後の茶株は回転するフリーハンマーにより断裂し損傷を受けるが(図1)、通常の台切り状態のように損傷部を切除しなくても、切除した場合と同様の枝条再生を示し、同等の枝条数が確保できる。(図2)。
4. 下垂発根枝(茶株の開張により自然発根している枝)は残しておくことにより株張りが確保しやすい。また、そこから発生した枝条の生育は当初は主幹部に比べやや劣るが、翌年秋期にはほぼ同等に回復する(図23)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果はZ社ZHM1710(有効刈幅1725mm)を使用した結果である。
2. 図2および3は礫質赤色土壌の「やぶきた」51年生(1.5m×19m一条植)茶園を2008年5月28日に台切りし、台切り当年は窒素成分28s/10a(直後〜9月に4回分施)、翌年は窒素成分44s/10a(2月〜9月に6回分施)の施肥管理とし、枝条管理として当年は放任、翌年は3月に地上30p、7月に40p、10月に50pで整せん枝を行った結果である。
3. 下垂発根枝は茶園や茶株により存在する場合としない場合がある。

[具体的データ]
図1 クローラ走行型ハンマーナイフモアと台切り後の茶株
表1 クローラ走行型ハンマーナイフモアの台切り作業時間
図2 台切り直後残存茶株の処理と当年秋期の再生枝条数
図3 台切り直後残存茶株の処理とその後の生育
[その他]
研究課題名:伊勢茶リフレッシュ支援技術開発事業
予算区分: 県単
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:松ヶ谷祐二、松田智子

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