熟練技術を要しない半自動型ラッキョウ端切機


[要約]
半自動型ラッキョウ端切機は、溝付きベルトでラッキョウを挟み込み、茎と根部を同時に連続切断処理するもので、熟練した技術を必要とせず誰でも連続して端切できる機械である。手作業と比較して、処理能力は1.5倍、仕上がり精度は同等である。

[キーワード]ラッキョウ、端切機、連続切断

[担当]福井農試・栽培部・園芸研究グループ、作物研究グループ
[代表連絡先]電話:0776-54-5100
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
ラッキョウは、漬物加工する前に茎部と根部を切断する端切を切り子と呼ばれる女性が手作業で行っている。しかし、福井県特産の三年子ラッキョウは、他産地で生産されている一年堀ラッキョウに比べて、小粒で曲がりが多く、その作業は、熟練技術を要する。また、切り子の高齢化により、労力不足が大きな問題となっている。そこで、誰でも使いこなせる半自動型の端切機を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 本機は、挟み込みベルト、押さえベルト、両端を切断する回転切刃により構成される。挟み込みベルトは、ラッキョウ挟み込み用の溝加工をした輪状のゴムベルトにラッキョウを1球ずつ挟み込み、上方から押さえベルトで押さえ、挟み込みベルトをモータでゆっくりと移送させながら、ゴムベルトの両側に設置した回転切刃で茎部と根部を同時に切断する仕組みである(図1)。
2. ゴムベルトの弾性力とプーリー経由時に生ずる曲率を利用して、ラッキョウを挟み込む仕組みにより、移送時および切断時にラッキョウのずれを防止して、正確に両端を切断できる(図1)。
3. 作業者がラッキョウの挟み込み時に、根部をマーカー板に当てることで、両端を適切な位置で切断できる。また、ラッキョウを挟み込むベルトは、2レーンあり、作業者がラッキョウの大きさ別に使い分けることができる(図2)。
4. ラッキョウ切断時に発生する特有の粘着汁が、回転切刃に付着して切断できなくなるため、スポンジに少量の水を供給して粘着汁をふき取るシステムを備える。その結果、回転切刃に粘着汁が固化することなく、連続切断を可能にする(図3)。
5. 端切作業の経験がない作業者が本機を使用した場合、端切能率は1,008個/時間で、手切りの約1.5倍である。また、切り上がりの精度は、長さのバラつきが少なく、製品個数球率92%で、手切りと同等である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 根盤部(株を形成する盤)は、根部の切断位置がずれるため、挟み込む前に手で取り除く。
2. 曲がっているラッキョウは、根部をマーカー板に対して直角に挟み込むことにより、球の中心赤道面と平行に切ることができる。
3. 回転切刃の洗浄に水を使うことから、水を流すことのできる作業場が必要である。
4. 作業後は回転切刃周辺を中心にゴミを洗い流す。
5. 平成23年から市販されており、価格は65万円程度である。また、安全装置として緊急停止ボタン、側部ドアスイッチ等が装備されている。
6. 製品切上がり幅は24mm〜28mm程度であり、レーンごとに調整することができる。

[具体的データ]
図1 ラッキョウの挟み込みの仕組みと切断位置
図2 開発機の概要 図3 回転切刃の粘着汁除去システム
表1 三年子ラッキョウの端切能率と精度

(田安拓馬)

[その他]
研究課題名:ラッキョウの省力機械化技術の確立
予算区分:地域科学技術振興
研究期間:2007〜2010年度
研究担当者:田安拓馬、村田英一郎、大ア隆幾、和田陽介、坪田一良
発表論文等:田安拓馬ら「ラッキョウの根茎部連続切除装置」特開2010-208008

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