黒毛和種肥育牛皮下脂肪の脂肪酸組成は種雄牛の系統により異なる
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[要約] |
皮下脂肪の脂肪酸組成は、種雄牛の系統により左右され、不飽和脂肪酸割合は兵庫系統が気高・藤良系統より高く、ミリストレイン酸とパルミトレイン酸比率の影響が大きい。 |
[キーワード]黒毛和種、皮下脂肪、系統、種雄牛、脂肪酸組成 |
[担当]三重畜研・大家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
(社)日本食肉格付協会の牛枝肉取引規格に脂肪の質の規程があるが、実際の格付時において和牛脂肪の軟らかさの判定には活用されていない。脂肪の軟らかさは、実際の枝肉取引では重要な基準の1つとなっている。脂肪の軟らかさは脂肪酸組成に大きく左右され、種雄牛の影響が強いとされている。このため、種雄牛の系統と皮下脂肪の脂肪酸組成の関係について検討する。 |
[成果の内容・特徴] |
1. |
気高を祖先とする種雄牛を気高系統(11頭)、第6藤良を祖先とする種雄牛を藤良系統(16頭)、田尻・菊美土井・茂金波を祖先とする種雄牛を兵庫系統(58頭)とする。それぞれの産子(5頭以上)の肩部皮下脂肪(と畜当日採取)について脂肪酸組成を分析し、その平均値を各種雄牛の脂肪酸組成として比較する。不飽和脂肪酸は図1、飽和脂肪酸は図2に示す脂肪酸について検討し、それぞれ比率を算出する。 |
2. |
不飽和脂肪酸割合は、兵庫系統(69.9%)が藤良系統(68.2%)や気高系統(68.6%)より有意に高い(図1)。系統間差は、ミリストレイン酸とパルミトレイン酸比率が、兵庫系統では他系統より有意に高いことによる。しかし、リノール酸比率、オレイン酸比率には差がない。(図1)。 |
3. |
飽和脂肪酸割合および各飽和脂肪酸比率は、兵庫系統が他の系統より有意に低い(図2)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
不飽和率には、オレイン酸以外の脂肪酸が大きく関与しており、これらの不飽和脂肪酸を検討することにより、脂肪質向上につながる可能性がある。 |
2. |
脂肪酸組成の比較は、種雄牛の父(肥育雌牛の父方祖父)のみを基準として比較したが、母の父(二代目)以前については検討していないため、その検討が必要である。
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3. |
和牛雌肥育牛の肩部皮下脂肪による成績であり、他の部位および去勢牛では実施していない。 |
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[具体的データ] |
図
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(森 昌昭)
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[その他] |
研究課題名:肉牛の産地間競争力賦与技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:森 昌昭、松井靖典、山田陽稔
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