亜リン酸施用がギンゴケの生育抑制とベントグラスの生育に及ぼす効果


[要約]
亜リン酸水溶液(P2O5成分で0〜4g/1,000mL)を0〜1,000mL/m2散布するとギンゴケコロニーの直径及び乾物重は、濃度が高く、処理量が多いほど小さくなる。ベントグラスの茎密度は、亜リン酸水溶液の処理量が多いほど増加する傾向がみられる。

[キーワード]亜リン酸、ギンゴケ、ベントグラス

[担当]千葉県総合研究センター・生産技術部・花植木研究室
[代表連絡先]電話:043-291-0151
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ゴルフ場のグリーンにおいて、コケ類の発生が問題となっている。その要因として近年の芝草管理手法の変化による芝草の茎密度の減少等が考えられるが、有効な対策が無かった。また、運動施設や公園などの日陰地の芝生では、コケ類の発生により芝生の生育が抑制され問題になっている。そのため、芝生地におけるコケ類の防除技術の開発が求められている。

[成果の内容・特徴]
1. ギンゴケコロニーの乾物重は、亜リン酸水溶液の処理濃度がP2O5成分で0〜4g/1,000mLの範囲では、処理濃度が高いほど低下する(図1)。
2. 亜リン酸水溶液の処理濃度がP2O5成分で4g/1,000mLの場合、亜リン酸水溶液の処理量0〜1,000mL/m2の範囲では、処理量が多いほどギンゴケコロニーの直径及び乾物重が低下する(図2図3)。
3. ベントグラスの茎密度は、亜リン酸水溶液の処理量が多いほど増加する傾向があった(図4)。亜リン酸処理によるベントグラスの生育への悪影響は観察されなかった。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験で使用した亜リン酸は試薬であり、市販の亜リン酸は、資材の種類によって効果に違いがある。
2. 亜リン酸は、水への溶解度が高く、灌水及び降雨の影響を受けやすいため、雨天時や処理直後の灌水は避ける。

[具体的データ]

(加藤正広)

 
[その他]
研究課題名:コケ類の総合防除技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:加藤正広

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