単為結果性ナス品種「あのみのり」は高品質で省力的に栽培できる


[要約]
単為結果性ナス品種「あのみのり」は、「千両二号」より果実品質が良好で色つや良く、漬物適性が高い。露地栽培では整枝作業時間が6割以上軽減可能であり、無加温ハウス栽培ではホルモン処理が不要で、「千両二号」と同等以上の収量が得られる。

[キーワード]ナス、単為結果性、あのみのり、整枝作業時間、ホルモン処理、省力化

[担当]新潟農総研・園芸研究センター・育種栽培科
[代表連絡先]電話:0254-27-5555
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
長卵形ナス品種「あのみのり」は単為結果性を有し、着果促進のためのホルモン処理が不要なだけでなく、果実品質は良好で、整枝作業の省力化も期待される品種である。
 そこで、新潟県の長卵形ナスの主力品種である「千両二号」と比較し、果実品質と作型に応じた栽培方法を示す。

[成果の内容・特徴]
1. 「あのみのり」の果実品質と特徴は、「千両二号」に比べて、果皮の光沢が優れる。果肉は種子部の褐変等が少なく、果肉色が白い。同程度の大きさの果実間の比較においても、一果重はやや重い。(表1)また、調理時(天ぷらなど)の品質も良く(データ略)、漬物適性も「千両二号」より優れる(表2)。さらに、着果促進処理(ホルモン処理)をしなくとも着果は安定しており、石ナス果の発生は極めて少ない(表1)。
2. 露地栽培(出荷期間6〜10月)では、主枝を4本とし、左右に2本ずつ振り分け、V字形に開帳させる。低温期もホルモン処理は必要としない(表1)。整枝は積極的に行わなくともよく、株が倒れないよう、主枝を支線に誘引する程度(放任整枝)にする。放任整枝でも、主枝3本仕立て(慣行整枝)や、慣行整枝で多収性を発揮する「千両二号」と同等の収量が得られる上、整枝作業時間は6割以上軽減される(表1)。
3. 無加温ハウス栽培(出荷期間5〜11月)では、マルチおよびトンネルを施し、4月中旬頃までに定植する(図1)。栽培期間を通じてホルモン処理は必要としない(表3)。定植後は、露地栽培と異なり、整枝は慣行(主枝3本、V字仕立て)と同様に行う。生育中後期には積極的に混んだ部分の側枝や大葉をかき取り、採光を良くする。その結果、ホルモン処理を必要とする「千両二号」と比べても、同等以上の収量が得られる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本品種は、(独)農研機構野菜茶業研究所が育成した品種である(2009年3月品種登録)。
2. 種子は複数の種苗会社から販売が開始されており、一般に購入可能である。
3. その他の管理は「新潟県野菜栽培指針」に準ずる。

[具体的データ]

(新潟県農業総合研究所)

[その他]
研究課題名:単為結果性なすの栽培体系の確立
予算区分:農林水産省委託事業(野菜低コスト供給パートナーシップ確立事業)
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:濱登尚徳、長谷川雅明

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