施設栽培におけるキュウリの子づるつり上げ整枝法


[要約]
施設キュウリ栽培において、主枝の低節位から子づるを1〜2本つり上げる子づるつり上げ整枝法は、慣行の摘心栽培と比較して成り休みが軽減され、A品率が向上し、A品収量が増加する。作業時間は摘心栽培と同等かやや多く、つる下ろし栽培より少ない。

[キーワード]キュウリ、整枝法、子づるつり上げ、成り休み、作業時間

[担当]群馬農技セ・東部地域研究センター
[代表連絡先]電話:0276-72-0355
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
施設栽培におけるキュウリの整枝法は主に摘心栽培とつる下ろし栽培が行われている。摘心栽培は成り休みができやすいこと、栽培後半のA品率低下が問題となっている。一方、つる下ろし栽培は栽培期間を通して高いA品率を維持できるが、つる下ろしにかかる作業時間の多さが問題となっている。そこで摘心栽培の問題点を解消しつつ、つる下ろし栽培よりも作業時間の少ない整枝法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 子づるつり上げ整枝法とは、主枝の低節位(7〜10節)から発生した子づるを1〜2本誘引ひもでつり上げ、主枝の高さで摘心し、その他の子づるは慣行と同様に1節で摘心する整枝法である。
2. 子づるつり上げ整枝法は慣行摘心栽培よりもA品率が向上し、A品収量が増加する(表1)。
3. 慣行摘心栽培では3月以降にA品率が低下するが、子づるつり上げ整枝法ではA品率の低下の程度が小さい。(図1
4. 子づるつり上げ整枝法の整枝管理にかかる作業時間は慣行摘心栽培に対しては同等ないしやや多く、つる下ろし栽培に対しては大幅に少ない(図2)。
5. 慣行摘心栽培では子づるからの収穫後に成り休みができるのに対し、子づるつり上げ整枝法では誘引枝からも収穫できるので成り休みが軽減される(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 慣行摘心栽培にくらべ立っている枝の本数が多くなるので、摘心・摘葉を遅れないで行う必要がある。特に上部が混み合わないように注意する。
2. 本試験における子づるつり上げ整枝法は横線の設置を省いたものであるが、作期の長い作型(促成栽培など)では慣行通りに横線を設置したほうがよい。
3. 栽植密度は10aあたり1,200本程度が適当である。
4. 本研究におけるA品の基準は2007年促成試験は曲がり1.0cm以内、2008年以降の試験は曲がり1.5cm以内とした。

[具体的データ]
表1 キュウリの収量調査結果(2007年促成) 図1 キュウリのA品率の推移(2007年促成)
図2 キュウリの整枝法による作業時間(2008年促成、1試験区=8株あたり)
図3 キュウリの収穫部位の推移(2009年抑制)

(鵜生川雅己)

 
[その他]
研究課題名:東毛地域ハウスキュウリ等野菜の品種特性と安定生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:鵜生川雅己、高橋登

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