ピーマン収穫用中型品種による赤ピーマン収穫栽培に適した主枝の仕立て本数


[要約]
ピーマン収穫用中型品種「京鈴」を用いた赤ピーマン収穫栽培では、最も適した主枝の仕立て本数は2本である。主枝2本仕立ては、収量及び収穫の安定性が4本仕立てよりも優れ、整枝作業時間が1本仕立てよりも短い

[キーワード]赤ピーマン、主枝仕立て本数、安定収穫

[担当]千葉農林総研・北総園芸研究所・東総野菜研究室
[代表連絡先]電話:0479-57-4150
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ピーマン収穫用品種は主に中型種であるが、これを完熟させることによって赤ピーマンを収穫することができる。赤ピーマンはパプリカなどの大型種とは別に市場からのニーズがあり、主に中華料理店向けに販売されている。供試品種の「京鈴」は着果性が良く、ピーマン及び赤ピーマンの両方で品質や収量性に優れ、汎用性のある品種である。しかし、着果負担の影響を受けやすく、初期収量は優れるものの、ピーマンの栽培で標準的な仕立て本数である4本仕立てでは収穫期間の中盤から生育が停滞することが多く、安定生産が難しい。そこで、着果負担を軽減する目的で主枝1本、2本、4本仕立てで赤ピーマンを栽培し、ピーマン収穫用品種の赤ピーマン栽培に適した仕立て法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 無加温の半促成作型の栽培で10aあたりの主枝の本数を4,444本に統一し、各主枝の仕立て本数に応じた栽植密度で「京鈴」を供試して赤ピーマンを栽培すると、総収量及び可販収量は主枝2本仕立てが最も多い(表1)。
2. 主枝2本仕立ての5月、7月、9月、11月の可販品収量は主枝4本仕立てより多い(図1)。主枝1本仕立ては初期収量が多いが、その後は漸減し、9月以降の収量は少なくなる。
3. 主枝2本仕立ての整枝作業時間は主枝4本仕立てと同程度であり、主枝1本仕立てよりも短い(表2)。
4. 以上の結果から、可販収量が多く、初期収量に優れるとともに収量の停滞期間が短く、整枝作業時間も4本仕立てと同程度である主枝2本仕立てが適する。

[成果の活用面・留意点]
1. 採光性が良い単棟パイプハウスで2ベッド以下で栽培する場合は栽植密度を上げ、大型ハウスで3ベッド以上で栽培する場合は栽植密度を下げることによって最大の収量が得られる。
2. 「京鈴」より草勢の強い品種では主枝の仕立て本数を3本以上にする。
3. 本品種はピーマン及び赤ピーマンの両方で品質が安定しており、赤ピーマンの収穫中に通常のピーマンも収穫できる。
4. 本試験では8月上旬に主枝を20節で摘心した。摘心前は側枝を2節目で切り落とし、主枝摘心後は徒長枝を整枝する管理を実施し、9月中旬以降は放任栽培とした。主枝1本仕立ては主枝の摘心によって収量が減少する可能性がある。

[具体的データ]

(小林理)

[その他]
研究課題名:半促成栽培における全期間完熟果どりピーマン収穫の栽培管理法
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:小林理、小林伸三、川上敬志

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