混作や間作による有機栽培キャベツ、ブロッコリーの虫害軽減効果


[要約]
春作キャベツや秋作ブロッコリーの有機栽培で虫害軽減を図る場合、畦間をシロクローバで間作したり自生雑草で被覆することで、チョウ目害虫やアブラムシによる被害が軽減し可販株率が向上する。ネギ類やレタスと混作すると、虫害はさらに少なくなる。

[キーワード]混作、間作、キャベツ、ブロッコリー、有機栽培、虫害、可販株率

[担当]山梨総農セ・栽培部・野菜科
[代表連絡先]電話:0551-28-2913
[区分]関東東海北陸農業・野菜、病害虫
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科野菜は、チョウ目害虫やアブラムシによる被害を受けやすく、化学合成農薬を用いない有機栽培は難しい。山梨県北杜市など現地では、多品目野菜の混作や自生雑草の畦間被覆により、適期作付けを前提としながら生産性を確保している栽培事例がある。そこで、有機栽培農家が現地で実践している混作や間作を用いた栽培法の虫害軽減に対する有効性を、キャベツとブロッコリーを対象とした有機栽培で実証する。

[成果の内容・特徴]
1. キャベツ、ブロッコリーをそれぞれ春作、秋作で有機栽培する場合、畦間にシロクローバを間作したり自生雑草で被覆することで、チョウ目害虫やアブラムシによる被害が少なくなり、可販株率は向上する(図1表1)。
2. 間作に加え、タマネギやネギを畦毎に混作することで、キャベツやブロッコリーの虫害はより少なくなり、可販株率はさらに高くなる。虫害軽減に対する効果は、間作が混作と比較してより大きい(表2)。
3. レタスと混作する場合、栽植方法は、株毎の交互作付けが、畦毎の交互作付けに比べ、虫害が少なくなり可販株率は高くなる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験で供試した品種は、キャベツが「YR青春2号」、ブロッコリーが「ハイツ」、タマネギが「O・P黄」、ネギが「十国一本太」、レタスが「サウザー」、シロクローバが「フィア」である。
2. 混作に用いるタマネギ、ネギ、レタスの可販株率はいずれも96%以上、重量はそれぞれ球重400g、茎葉重320g、結球重600gであり、販売が十分可能である。
3. シロクローバの播種法は、畦間(通路になる部分)に1kg/10aの種子を15cm程度の幅で散播する。シロクローバや雑草の生育は、定植時に草丈が5〜10cm程度であることが望ましいが、その後は草丈が15〜20cmを維持できるように、適宜刈り込みを行う。
4. 雑草被覆区に自生した雑草の草種は、春作がホトケノザ、ナズナ、ノボロギク、アカザ、ニシキソウで被度は栽培期間を通じて50〜100%、秋作がメヒシバ、イヌビユ、ニシキソウ、カヤツリグサ、エノコログサで被度は75〜100%である。
5. 定植直後や結球初期にチョウ目害虫の発生が著しい場合は、補完的にネット被覆やBT剤を利用する。

[具体的データ]
図1 キャベツ、ブロッコリーと混作・間作作物の作付け体系
表1 シロクローバの間作や雑草の畦間被覆の効果(2008年)
 表2 タマネギ、ネギの混作やシロクローバ間作の効果(2008年)
 表3 レタスの混作やシロクローバ間作の効果(2009年)

(赤池一彦)

[その他]
研究課題名:野菜類の有機栽培技術の実証
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:赤池一彦、小澤明子、千野正章

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