アスパラガスの二期どり栽培におけるかん水と培土による増収効果


[要約]
アスパラガスの二期どり栽培における収量はpF2.3程度以下にかん水することにより高まる。りん芽が地表面から15cmの深さになるように培土することにより、若茎の1茎重およびL級以上比率が高まる。

[キーワード]アスパラガス、かん水、培土、二期どり、干ばつ対策、多収

[担当]長野野菜花き試・野菜部
[代表連絡先]電話:0263-52-1148
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
アスパラガスは干ばつ害を受けると若茎の発生が抑制され、収量が低下することから、かん水による増収効果が期待される。また、アスパラガス栽培においてはりん芽や地下茎の干ばつ害や凍害の回避、茎葉の倒伏防止などのためにりん芽の上に土を盛る培土が行われる。そこで、寒冷地における多収技術の確立に向け、かん水量および培土の深さが収量に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 春どり期から夏秋どり終了後の株養成期まで降水量とかん水量を合わせて1週間あたり30〜45mmとなるようにかん水することにより、収穫本数が増加し、収量が向上する(表1)。
2. 春どり期から夏秋どり終了後の株養成期まで地下25cmのpFを2.3以下となるようかん水を行うことで、7月中旬以降の高温期の収量低下を低減できる(図1)。
3. りん芽が地表面から15cmの深さになるように培土することにより若茎の1茎重およびL級以上比率が高まる(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験したほ場の土質土性は灰色低地土CLである。地下水位の高いほ場や長時間滞水しやすいようなほ場では1回当たりのかん水量を少量として多回数かん水を行う。
2. 1年株ではかん水量を少なめとするなど、生育状況によりかん水量を加減する。
3. 表1および図1に示したかん水量の試験は雨よけ栽培で行い、雨水の影響が少ない条件下においてうね間かん水によるかん水試験を行って得られた結果である。
4. 春どりでは培土によりりん芽が深くなると地温が上がらず萌芽が遅れることがある。

[具体的データ]

(酒井浩晃)

 
[その他]
研究課題名:アスパラガス長期どり栽培における多収技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:酒井浩晃、鈴木尚俊、重盛勲

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