除草剤畦間処理を基軸とした除草体系による帰化アサガオ類の除草効果


[要約]
グルホシネート液剤の畦間処理を基軸に、ベンタゾン液剤散布等を前処理として組み合わせた除草体系は、手取除草と同等の高い除草効果を有し、多発生ほ場でも支障なく実施できる。

[キーワード]ダイズ、帰化アサガオ類、畦間処理、除草体系

[担当]愛知県農業総合試験場・作物研究部・作物グループ、同・水田利用グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
愛知県では、西三河地域を中心にダイズほ場における帰化アサガオ類の発生が問題となっている。愛知農総試は、帰化アサガオ類除草技術として、乗用管理機によるグルホシネート液剤等の畦間処理(以下、畦間除草)を検討し、報告している(関東東海北陸研究成果情報2006年及び2009年)。畦間除草によりダイズの減収はほぼ解消されるが、帰化アサガオ類の残草が認められる場合があり、種子増殖を食い止めるには効果が不足している。さらに、畦間除草の適期であるダイズ6〜8葉期までに帰化アサガオ類が繁茂し、作業の阻害や、作業精度の低下による著しい薬害が生じる場合もある。
 そこで本情報では、除草効果及び作業精度の向上のため、畦間除草を基軸に、既に普及しているベンタゾン液剤全面散布や中耕培土を組み合わせた除草体系について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 除草体系は、農家慣行であるダイズ3〜5葉期のベンタゾン液剤全面散布のみ、あるいはその7〜8日後に実施する中耕培土との組み合わせを前処理とし、ベンタゾン剤散布の8〜14日後を目安にグルホシネート液剤の畦間除草を後処理する(図1表1)。
2. 帰化アサガオ類は、前処理により生育抑制または除去されるため、畦間除草の処理適期であるダイズ6〜8葉期に、300本/m2を超える多発生ほ場でも100本/u程度まで減少し、茎長も50〜75cmとなり(表1)、畦間除草が支障なく実施できる状態となる。
3. ダイズ成熟期の帰化アサガオ類残草量は、畦間除草の追加により、前処理のみに比べ発生本数で0〜16%、乾物重で0〜9%となり、前処理と手取除草の組み合わせと同等にまで激減する(図2)。
4. ダイズ収量は、畦間除草の追加により、前処理のみに比べ増加する(図3)。また、手取除草との比較から、畦間除草の追加によるダイズの生育及び収量への悪影響は認められない。

[成果の活用面・留意点]
1. 愛知県の「フクユタカ」栽培ほ場(条間60〜70cm)での2009〜2010年の現地試験の結果により得られたものである。
2. 手取除草と同等の高い除草効果を有することから、帰化アサガオ類の埋土種子量削減の効果が期待できる。
3. 帰化アサガオ類多発生ほ場での適用が効果的である。
4. 各除草作業の間隔が短いことから、ダイズ播種等他作業との競合が予想される。
5. 中耕培土は、ダイズの倒伏抑制や生育促進の効果があり、また一時的であるがアサガオ類の除草・生育抑制効果もある。一方、培土により畦間除草の作業精度・能率が低下する。そのため、中耕培土の実施は総合的に判断する必要がある。

[具体的データ]
図1 畦間除草を基軸とした体系除草の概念図
表1 各除草技術実施時の試験ほ場の状況
図2 体系除草の除草効果 図3 体系除草におけるダイズの生育・収量

(遠藤征馬)

[その他]
研究課題名:温暖地湿田の浅耕栽培を基軸とするイネ・ムギ・ダイズ水田輪作省力増収技術の確立と実証
予算区分:委託(担い手プロ、水田底力プロ)
研究期間:2009〜2010年度
研究担当者:遠藤征馬、谷俊男、林元樹、杉浦和彦、田中雄一、東野敦、本庄弘樹

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