輪作を主としたジャガイモそうか病の発病抑制


[要約]
ジャガイモそうか病発生圃場に、ヘアリーベッチとレタスを2年間作付けして輪作すると、本病の発病が抑制される。さらに、硫安を作条に施用すると効果が高まる。

[キーワード]ジャガイモそうか病、輪作、ヘアリーベッチ、防除

[担当]茨城県農業総合センター農業研究所・病虫研究室
[代表連絡先]電話:029-239-7213
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
ジャガイモそうか病は、塊茎表面にかさぶた状の病斑ができる難防除土壌病害である。近年、本病の発生拡大により品質が低下し、安定生産が阻害されているが、圃場周辺への危被害防止、食の安全確保の面から、化学合成農薬に頼らない防除技術の開発が望まれている。そこで、輪作や土壌pHを高めない硫酸根肥料の施用等の耕種的防除を組み合わせた、持続的な総合防除技術を構築・実証する。

[成果の内容・特徴]
1. ジャガイモは「トヨシロ」を供試し、緑肥作物としてヘアリーベッチ「まめ助」を、収益性のある作物としてレタス「シスコ」を選択して、輪作を行った(表1)。
2. ヘアリーベッチとレタスの作付けは、1年間ではそうか病の発病軽減効果はわずかであるが(図1)、2年間継続すると本病の発病を顕著に抑制できる(図1図2)。
3. ヘアリーベッチとレタスを2年間作付けする輪作体系に、硫安を作条に施用(過リン酸石灰と硫酸カリは全面全層施用)する施肥法を組み合わせると、配合肥料を全面全層に施用する場合と比較して、そうか病の発病軽減効果は高まる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. ジャガイモの作付けは2年一作ではそうか病の発病軽減が十分ではないので、2年以上あけてから作付けする。本病を発生させないために、輪作を継続して行うことが基本である。
2. ヘアリーベッチは5kg/10aの播種量で10〜11月中旬に播種し、6〜7月にロータリーで圃場にすき込む。ヘアリーベッチがロータリーに絡まりやすい場合は、ハンマーナイフモア等で細断してからすき込む。

[具体的データ]
表1 ヘアリーベッチとレタスを導入した輪作体系
図1 輪作によるジャガイモそうか病発病度の変化 図2 試験区のジャガイモそうか病の発病程度
表2 輪作と硫安作条施用の組み合せによるそうか病発病軽減効果(2009年)

(茨城県農業総合センター農業研究所)

[その他]
研究課題名:ジャガイモ土壌病害の総合防除システムの開発と実証
予算区分:県単
研究期間:2007〜2010年度
研究担当者:青木一美、渡邊 健

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