防鳥ネットと箱わなを利用したアライグマの捕獲による果実食害防止対策


[要約]
防鳥ネットをブドウ園外周に張り、下部を地面にしっかりと固定し、園外に箱わな を設置することにより、ブドウ園にアライグマを侵入させることなく、園外でアライグマ を捕獲し、果実食害を防止できる。

[キーワード]アライグマ、ブドウ、食害防止、防鳥ネット、箱わな

[担当]三重農研・伊賀農業研究室
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・病害虫(鳥獣害)、果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
三重県伊賀地域では、近年、アライグマによるブドウ果実の食害が増大している。アラ イグマは、ブドウ樹主幹部に平トタン2枚を貼り合わせたり、平トタンで作った傘状の返しを針金でつるすと、樹主幹部を登ることができないが、垂直な鋼管や針金を登るため、棚栽培のブドウ園内部での物理的な手法による食害防止は非常に困難である(2009年成果情報)。また、ブドウ園外周に防鳥ネットを設置しても、登ったり、かみ破ったりして侵入する。そこで、アライグマをブドウ園外で効率的に捕獲し、果実食害を防止する方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. ブドウ園の外周に高さ1mの防鳥ネットを張り、上部をパッカーで支柱に、下部を杭 で30cm間隔に地面に固定した標識ロープに配線バンドで10cm間隔に固定し、園外に餌 を付けた箱わなを設置する(図1)。
2. 防鳥ネット無しで箱わなだけを設置した場合(表1の2007〜2009年)には多大な食害を受けるが、防鳥ネットと箱わなを設置した場合(表1の2010年後期)にはブドウ園にアライグマを侵入させることなく、園外でアライグマを捕獲し、果実食害を防止できる(表1)。
3. 防鳥ネット設置の所要時間は5分/m、経費は140円/mである(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. .飼育施設内での観察によると、高さ1mの防鳥ネットで四方を囲った内側に餌を設置した場合、アライグマは、容易に侵入できる場所を探して外周部を長時間歩き回った後に、ネットに登ったり、かみ破ったりして侵入する。
2. ブドウの場合、収穫開始50日前頃から収穫終了時まで防鳥ネットと箱わなを設置すればよい。
3. アライグマは10cm角の隙間があれば侵入するので、標識ロープと防鳥ネットの結束間隔は10cm以下とする。
4. 箱わなは複数設置すると良い。
5. 箱わなに仕掛ける餌は、ブドウやコーン菓子等の甘い物が適している。
6. アライグマを捕獲する場合は、狩猟免許や有害鳥獣捕獲許可等が必要なので、市町村役場に確認する。

[具体的データ]

(輪田 健二)

[その他]
研究課題名:農作物被害を軽減するための包括的な獣害対策技術・手法の確立 他
予算区分:県単
研究期間:2007〜2010年度
研究担当者:輪田健二、後藤雅之

目次へ戻る