沖積砂壌土の乾田V溝直播栽培における「コシヒカリ」の適正着粒数


[要約]
北陸地域の沖積砂壌土で「コシヒカリ」を用いた乾田V溝直播を行う場合、収量・品質からみて適正な着粒数は27,000粒/m2であり、その場合の穂数は340本/m2、苗立数は180本/m2程度である。

[キーワード]乾田V溝直播、収量・品質、着粒数、コシヒカリ

[担当]富山農総セ・農研・栽培課
[代表連絡先]電話:076-429-5280
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
乾田V溝直播は湛水直播に比べ安定した生育量や収量を確保しやすい一方で、分げつ発生や葉色の推移など生育パターンが異なる。しかし北陸地域に適した生育指標は確立されていない。そこで北陸地域の沖積砂壌土における、安定した収量と品質を確保するための適正な着粒数について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 着粒数18,000〜36,000粒/m2の範囲では、着粒数が多いほど精玄米重は増加傾向を示す(図1)。
2. 2当たり着粒数の増加に伴い乳白粒は増加傾向を示す。乳白粒を概ね7%以下に抑えるには、着粒数を27,000粒/m2以下とする必要がある(図2)。
3. 2当たり着粒数の増加に伴い精米蛋白質含有率は増加傾向を示す。精米蛋白質含有率を概ね5.5%以下に抑えるには、着粒数を28,000粒/m2以下とする必要がある(図3)。
4. 以上より、安定した収量と品質を確保するためには、着粒数を27,000粒/m2に誘導する必要があり、その場合の穂数は340本/m2、1穂着粒数は80粒である(データ略)。
5. 苗立数200本/m2までは苗立数の増加に伴い穂数も増加するが、苗立数200本/m2以上では穂数の増加は認められない(図4)。このことから穂数340本/m2を確保するには苗立数180本/m2程度が必要である。

[成果の活用面・留意点]
1. 北陸地域の沖積砂壌土で活用できる。
2. 苗立数180本/m2を確保するための播種量は6〜8kg/10a(苗立率60〜80%)である。
3. 本成果は代かきを前年10〜11月に行い、播種日は4月下旬、基肥として肥効調節型全量基肥(LP40:LPs40:LPss直播用=2:2:6)を窒素成分で8〜10kg/10a施用した結果である。

[具体的データ]
図1 m2当たり着粒数と収量の関係(2008〜2010年) 図2 m2当たり着粒数と乳白粒の関係
図3 u当たり着粒数と精米蛋白質含有率の関係 図4 苗立数と穂数の関係(2008〜2010年)

(齋藤綾乃)

[その他]
研究課題名:乾田V溝直播栽培における安定栽培技術確立試験
予算区分:県単
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:齋藤綾乃、川口祐男、松島知昭、南山 恵、中村一要、長岡 令

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