北陸地域のダイズ作におけるコンバイン収穫時の雑草による汚粒の発生


[要約]
ダイズのコンバイン収穫において、イネ科雑草が混入した場合に比べて、タデ科雑草が混入した場合は、汚粒の発生が増加し、タデ科雑草の混入比の増加に伴って、汚れ指数は比例的に大きくなる。

[キーワード]ダイズ、雑草、汚粒、汚れ指数、コンバイン

[担当]中央農研・北陸水田輪作研究チーム
[代表連絡先]電話:025-526-3244
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作、作業技術、共通基盤・雑草
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
水田におけるダイズの本作化や圃場整備の進展などの影響により、雑草の草種が増加するなど、雑草の問題は大きくなっている。北陸地域のダイズ作においても、これら雑草の発生は、汚粒の増加による品質の低下、減収、収穫作業性の悪化等の問題を引き起こす原因となっている。そこで、雑草の発生量とコンバイン収穫による汚粒の発生状況の関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 全重5〜8kgの手刈したダイズに、一定量の雑草を混ぜてコンバインに投入し、回収された子実を用いて汚粒の発生状況を調査したところ、タデ科雑草(オオイヌタデ、ヤナギタデ)では、コンバインへ投入される雑草の混入比の増加に伴って汚粒の発生が増加する(図1)。一方、イネ科雑草(タイヌビエ)では汚粒の発生がそれほど増加しない(図1)。
2. 調査時に混入した雑草の含水率は65〜70%程度で、雑草の草種による差は大きくなく(図2)、含水率の差よりも草種の違いの影響の方が大きい。
3. イネ科雑草(タイヌビエ)が優占する圃場においては、コンバイン収穫時の汚粒の発生は少ないが、タデ科雑草(オオイヌタデ)が優占する圃場においては、雑草の繁茂程度が増加すると汚粒の発生も多くなる(図3)。タデ科雑草が優占する圃場の50m地点における汚れ指数の実測値は0.75であるが、図1の脚注にある回帰式から求めた汚れ指数の平均予測値は0.67、上限予測値は0.82であり、おおむね一致する。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、北陸地域のダイズ「エンレイ」を作付し、タデ科雑草が優占種となる圃場での雑草処理の目安として用いる。尚、目安として用いる場合は、予測誤差のリスクを考慮して、95%上限値の回帰式(図1脚注)で算出することが望ましい。
2. 本成果においては、こぎ胴内での雑草の滞留や土壌の混入はほとんど認められない条件で行った。そのため、こぎ胴内での長時間の雑草の滞留や土壌の混入による汚粒の増加については検討していない。
3. 図3で示したイネ科雑草が優占する圃場(2009)の優占雑草は、タイヌビエ、メヒシバで、40m地点における発生量は、それぞれ127gD.W./m2 、29.3gD.W./m2であった。同様に、タデ科雑草が優占する圃場(2010)の優占雑草は、オオイヌタデ、エノコログサで、50m地点における発生量は、それぞれ301gD.W./m2、99gD.W./m2であった。

[具体的データ]
図1 雑草の混入量と汚粒発生量との関係 図2 収穫時の雑草の含水率

(大野智史)

[その他]
研究課題名:北陸地域における高生産性水田輪作システムの確立
中課題整理番号:211k.4
予算区分:委託プロ(水田底力4系)
研究期間:2009〜2010年度
研究担当者:大野智史、野村幹雄、池永幸子、関正裕

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