土壌pHの矯正と薬剤の種子塗沫処理によるダイズ茎疫病の防除


[要約]
ダイズ茎疫病に対して、粉状消石灰を施用し、土壌pHを6以上に矯正すると発病が軽減される。また、薬剤の種子塗沫処理には実用的な防除効果があり、両者を併用することにより、さらに防除効果が高まる。

[キーワード]ダイズ、茎疫病、土壌pH、矯正、薬剤、種子塗沫処理

[担当]富山農総セ・農研・病理昆虫課
[代表連絡先]電話:076-429-5249
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ダイズ茎疫病は、水田転換畑栽培における主要な減収要因の一つである。本病に対して有効な散布薬剤は数種類が登録されているが、本病は発芽直後から発生し、被害の拡大が急激なため適期に薬剤を散布することは容易でない。そこで、粉状消石灰による土壌pHの矯正と処理が簡便で発芽直後から防除効果が期待できる薬剤の種子塗沫処理の実用性を検討する。さらに、両者の併用による防除効果も検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 粉状消石灰の施用により播種時の土壌pHを6以上に矯正することで、ダイズ茎疫病の発病が軽減される(図1図2)。
2. シアゾファミド水和剤(種子重量の2%)、チアメトキサム・メタラキシルM・フルジオキソニル水和剤(同0.8%)、アミスルブロム水和剤(同1%)の種子塗沫処理は、いずれもダイズ茎疫病に対して高い防除効果を示す(表1)。
3. 土壌pHの矯正と薬剤の種子塗沫処理を併用すると防除効果が高まる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 2011年1月現在、本病に対する種子塗沫処理はシアゾファミド水和剤の登録が取得され、チアメトキサム・メタラキシルM・フルジオキソニル水和剤、アミスルブロム水和剤は登録申請中である。
2. いずれの薬剤も、苗立枯病および紫斑病の防除、さらに鳥害防止・忌避を目的として使用されているチウラム水和剤と併用しても防除効果の低減や薬害は認められない(データ略)。

[具体的データ]

(三室元気)

[その他]
研究課題名:茎疫病等ダイズにおける初期立枯性土壌病害の発生生態究明と防除対策
予算区分:委託プロ(加工プロ2系:大豆)
研究期間: 2006〜2010年度
研究担当者:三室元気、岩田忠康、向畠博行(農総セ園研)、守川俊幸

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