サトウキビ酢の抗変異原活性及びアンギオテンシンI変換酵素阻害活性


[要約]

 サトウキビ酢は、各種発癌物質に対して幅広い抗変異原活性を示し、ポリフェノール含量も高い。さらに、サトウキビ酢はアンギオテンシンI変換酵素に対しても阻害活性を示す。


[背景・ねらい]

 南九州地域の基幹作物であるサトウキビは、限定された利用・用途により作付面積も年々減少し経営が不安定化している。これらの問題を解決するには、甘味資源以外の多目的で付加価値の高い用途開発が急務である。サトウキビ酢の抗変異原活性及びアンギオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. サトウキビ酢(2種)は穀物酢、米酢、玄米酢に比べて、各種発癌物質に対し強い抗変異原活性(菌体はSalmonella typhimurium TA98)を示す。標品としての変異原だけでなく、牛焼き肉のジメチルスルフォキシド抽出物(DEGB)に対しても顕著な抗変異原活性を示す。サトウキビ酢の摂取は、調理・加工等で形成される発癌物質の生体へのリスクを抑制することが期待できる(表1表2)。
  2. サトウキビ酢は穀物酢、米酢、玄米酢に比べて、約2倍以上高いポリフェノールを含んでいる(図1)。
  3. サトウキビ酢はアンギオテンシンI変換酵素(ACE)の阻害活性がある。活性は穀物酢、米酢、玄米酢に比べて弱いが、サトウキビ酢の摂取で高血圧の予防が期待できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. サトウキビ酢には独特の風味があり、調味料としての一般的な利用の他に、新たな清涼飲料の原料としての新用途が期待できる。
  2. サトウキビ酢のポリフェノール類の特性については今後の課題である。

[その他]