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バイオ燃料変換技術研究開発

農研機構
バイオマス研究センター
食品総合研究所

研究情報2011

どんなプロジェクト?

 地域活性化のためのバイオマス利用技術開発は最終年度の大きな選択を行いました。これまでの4年間の開発では多様な組成のバイオマス資源をその組成を生かしつつ無駄なく活用し、残渣の有効活用にも特質を生かす循環型技術を進めてきました。バイオマス資源の燃料変換利用は高コスト構造の農業生産に低価格の燃料用途を求めるものですが、原料としての経済性から資源作物ではまだまだ課題克服に時間を要すこともあって稲わらや林地残材等の未利用資源を対象とする開発に資源集中をすすめました。これ迄の開発経緯をきちんと整理しつつ資源作物テーマを中断しました。未利用資源からの変換についてはA、Bの一貫技術開発のみならずCの要素技術テーマについても一貫開発に集束し成果反映に傾注することとしました。また林地残材等のよりハードな繊維質材料についてもリグニン区分の高度利用提案が進展しアルカリ処理によるセルロース主体の利用技術開発も進行中です。


たとえば?

エタノール変換技術

 草本系の対象作物・材料をCaCCO法前処理主体に一貫変換技術開発をすすめる食品総合研究所のチームと、すでに先行して完成度の高い技術開発実績を持つバイオマス燃料開発研究機関((独)産業技術総合研究所、(独)森林総合研究所)の2機関がそれぞれ稲わらあるいは廃木材等を材料に絞り込んで競争的あるいは協力的な環境で技術開発を進めています。これらの3機関は既にそれぞれ独自の前処理工程を特徴とする小規模実証変換設備が整備されています。また、要素技術としての糖化・発酵技術の重要性から7課題が活動しています。セルラーゼ生産・糖化発酵を一槽内に完結する方式としてCBP(Consolidated Bioprocessing)型発酵技術開発、酵素生産微生物からの繊維質分解酵素の探索、利用、オンサイト生産あるいは利用性の低い5炭糖のエタノール発酵技術や各種の発酵阻害因子に対応するエタノール発酵あるいは連続発酵技術の開発に挑戦しています。


ガス化変換技術

 木材や稲わらなどからのガス化発電利用やメタノール変換技術が実用化段階にあり、効率のよい技術開発へのブラッ シュアップが進行中です。平成21年度からはバイオマス3号機のバイオマスガスからのエタノール変換試験設備も設置 され、その効率化に挑戦し、装置改良により大型化への期待も見い出すなど成果を挙げました。2010年度で当プロジェ クトを終了し、商業規模試験を展開中です。


ディーゼル代替燃料変換技術

 食品産業から排出される廃食用油を材料に無触媒メチルエステル化技術の開発も実証試験を終え、所期目標を達成し 2008年度にて当プロジェクトを終了しました。エタノールに先行する燃料実用化技術として期待されています。当該技 術は油脂利用の難点であった遊離脂肪酸の利用が可能なことが見出され、幅広い応用分野が期待され商業規模開発が検 討されています。

各チームの研究内容を見てみよう!!

研究総括(2012年) 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年

技術開発の構成と開発目標(2011)
チーム 材料 前処理 糖化 発酵 目標
草本系原料の総合的変換技術開発 稲わら、麦わら 粉砕、化学、分画 酵素、C/H/P酵素糖化、リアクター C5・C6発酵技術、発酵阻害改善 エタノール開発目標 100円/L
稲わら変換総合技術の開発 稲わら 粉砕/熱水 アクレモニウム酵素等 C5改良
木質バイオマス変換総合技術の開発 木材 粉砕/化学 トリコデルマ酵素等 同時糖化発酵、C5改良
バイオマス変換要素技術の高度化 稲わら、木材 粉砕、化学、担子菌 酵素生産、担子菌、セルロソーム、酵素選抜 担子菌、固体発酵、連続発酵、C5・C6改良


バイオ燃料素材サンプル