(1)材料毎に分析値のグラフを作成してデータをチェックします。 (p7)
グラフの例:Youdenの2試料プロット (184KB A4サイズ
3ページ) 試験室毎の平均値順に試験室を並べ、縦軸が2試料の各分析値、横軸が試験室のプロット (160KB A4サイズ
1ページ) |
(2)外れ値検定で残ったvalid dataのみを統計解析に用います。 (p7) |
(3)外れ値 (p7)
プロトコルに従わなかったなど明らかな棄却理由がない場合に、参加試験室の2/9を超えた棄却は通常棄却しすぎと考えます。
試験室数が多い共同試験の場合には棄却率上限の2/9はもっと低い方が適しています。 |
(4) Cochran検定 (p7)
室内誤差の外れ値を検出する検定方法です。
検定統計量=各試験室の室内誤差分散の最大値/全試験室の室内誤差分散の和
片側危険率2.5%の数表を使用します。
Cochran, W.G. (1941).
The distribution of the largest of a set of estimated variances as
a fraction of their total. Annals of Eugenics, 11, 47-52.
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(5) Grubbs検定 (p7)
試験室毎の平均値の中の外れ値を検出する検定方法です。
最初に外れ値1個の検定を行い、次に外れ値2個の検定を行います。
下側または上側1個の外れ値の検定には両側危険率2.5%の数表を使用します。
1個の外れ値の検定で外れ値が検出されなかったら、2個の外れ値(下側2個、上側2個、
または下側1個・上側1個)の検定を両側危険率2.5%の数表を使用して行います。
Grubbs, F.E. (1950).
Sample criteria for testing outlying observations. Ann. Math.
Statist. Assn.,21, 27-58.
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(6)Cochran検定、外れ値1個のGrubbs検定、外れ値2個のGrubbs検定の順に検定を行い、いずれの検定でも外れ値が検出されなくなるまで検定を繰り返します。 (p8) |
(7)外れ値になる試験室数の比率が上限(2/9)を超える場合は、上限を超える前に外れ値検定を終了します。 (p8)
この場合には、外れ値を全く除かず全データを用いて精度指標を計算するか、分析法を疑わなければなりません。 |
(8)最終的にある値を外れ値として除くべきかどうかの決定は統計的に決める性質のものではありません。
共同試験責任者が、外れ値検定により示された外れ値である確率および関連情報に基づいて判断しなければなりません。
ただし、外れ値について独自の判断をしたとしても、他の共同試験結果との調和を保つために、ここでの外れ値検出手順に従った結果は報告すべきです。 (p8) |
(9)回収率 (p8) >>詳細 (103KB A4サイズ
4ページ)
・marginalとtotalの2種類の定義があります。
・2種類の回収率の分散の計算式を示してmarginalの方がtotalよりも分散が大きくなることを説明しています。 |
(10)精度 (p8-9) >>詳細 (129KB A4サイズ
10ページ)
・併行標準偏差(repeatability standard deviation)Srの計算方法
非明示の2反復試料の場合とYoudenペアの場合の計算式を説明しています。
・室間再現標準偏差(reproducibility standard deviation)SRの計算方法
非明示の2反復試料の場合とYoudenペアの計算式を説明しています。
Youdenペアの場合には試料Xと試料Yの分散に有意差がないことをPitman(1939)の検定で確認します。
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(11)HORRAT (p9) >>補足 (108KB A4サイズ
3ページ)
・Horwitz ratioからの造語です(このコメントはガイドラインに記載されていません)。
ただし、
ここで、Cは化学分析値の平均濃度で、10進表記の値(濃度100%のときC=1、濃度1%のときC=0.01、濃度1ppmのときC=0.000001)です。
・HORRATは共同試験で得られた化学分析値の室間再現相対標準偏差(Relative
reproducibility Standard Deviation)(RDSR,%)の値が、過去の化学分析の共同試験結果をHorwitz博士らが解析して得られた室間再現相対標準偏差の経験則の値(Predicted
Relative reproducibility Standard Deviation)(PRSDR,%)と比べてどの程度かを比率で示しています。
・AOACのガイドラインでは、0.5 <= HORRAT <= 2.0 を許容範囲にしています。
これは共同試験で得られた室間再現相対標準偏差が、過去の実験に基づく室間再現相対標準偏差の予測値に比べて小さすぎても大きすぎても何か実験に問題がないか検討した方が良いことを意味します。
・1.5<HORRAT<=2.0については、報告書の中でHORRATが高いことを考察すべきです。
・ ただし、高濃度側(100%付近)と低濃度側(10-8以下)でのHORRATの有効性については疑問があるため、これらの濃度域ではレフリーの判断にゆだねられています。
・ HORRATの対象になる分析法
多くの化学分析法
・ HORRATの対象外の分析法
1)物理特性値
粘度、屈折率、密度、pH、吸光度など
2)経験的分析法(empirical methods)
例えば、食物繊維、酵素、水分、またはポリマーのように分子量不定なものの分析法
3)品質測定(”Qualty” measurement、品質の善し悪しを判定する測定法)
例えば、固形物重量(drained weight)
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(12)定性分析の結果の確からしさ (p9)
・偽陽性および/または偽陰性が約10%を超えたら結果を解釈できなくなります。
・偽陰性を除いたゼロの割合が約30%を超えると結果の解釈ができなくなります。 |
(13)最終報告書に記載すべき項目(p9-10、p12の表1)
・用いた材料および材料調製に関する情報
・全ての有効データおよび外れ値(外れ値検定で除外された値)を含む表
・反復分析した場合は、平均値ではなく反復毎のデータを表に記載します。
ただし、微生物の分析法のように平均値を用いると決まっている分析法は除きます。
・試料の変質、プロトコルからの逸脱、汚染など明らかな理由で異常値と判断したデータは表に記載しません。
・謝辞への記載の同意が得られたら参加者の氏名および所属先
1)材料(濃度の昇順に記載)
2)外れ値検定の後に残った試験室数
3)外れ値検定で除外された試験室数
4)平均値(単位)
5)既知ならば真値または設定値
6)併行標準偏差(repeatability standard deviation, sr)
7)併行相対標準偏差(RSDr)
8)併行許容差(r=2.8sr)
9)srが有効でないときのオプション:総室内標準偏差(se)
10)室間再現標準偏差(sR)
11)室間再現相対標準偏差(RSDR)
12)HORRAT(化学分析値の場合)
13)室間再現許容差(R=2.8sR)
14)報告可能なら回収率(% Rec) |