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コラム

2008.11.14 宮ノ下明大
殺人事件とハラジロカツオブシムシ
法医昆虫
ハラジロカツオブシムシは動物質の乾燥食品を食べる害虫ですが、殺人事件での死後経過時間の特定の際、証拠として登場することがあります。法医昆虫学の分野では、ヒトの死後経過時間を推定する際、死体から発生したクロバエ類やニクバエ類を利用しています。
これらのハエはしばしば死後数分のうちにやってきて死肉を食べ発育を開始するので、その発育具合をみることで、かなり正確な死後経過時間を推定することができるのです。アメリカではすでに殺人事件の裁判で証拠として認められています。

虫が証人

腐敗が進み死体が乾燥しはじめると、今度は乾燥した皮膚や軟骨を食べるハラジロカツオブシムシが現れます。もし、死体にこの虫が見つかれば死後長時間が経過したことがわかります。例えば、ハワイのオアフ島の低地部の生息環境では、ハラジロカツオブシムシは腐敗分解が始まってから8日から11日の間に死体に到着します。

日本でも死体の経過時間を昆虫で推定できるでしょうか。そのためには、日本各地で豚肉片を様々な条件に放置し、その腐敗過程でどんな昆虫が現れ、何日で発育するのかといった詳しいデータの蓄積が必要です。現在、日本では十分なデータがなく、精度の高い推定は難しいと思われます。 ハラジロカツオブシムシは様々な顔をもち、日本ではカイコの蛹を食べる養蚕害虫として知られていましたし、世界の主な博物館では、学術用の骨格標本を作るために、この虫の幼虫を多数放して骨格についた肉をきれいに食べてもらう益虫として利用しています。




 
参考文献
  • マジソン・リー・コブ(2002)死体につく虫が犯人を告げる.(垂水雄二訳) 238p.草思社,東京.
 
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