【豆知識】

コラム

ノシメマダラメイガの子だくさん

2010.05.12 宮ノ下明大

 

ノシメマダラメイガは小型の蛾で、お米、チョコレート、香辛料を食べる代表的な食品害虫として知られています。雄成虫を誘引する性フェロモンを利用したトラップを一般家屋に仕掛けると、8割以上の高い確率で捕まることから、私達の身の周りに普通に発生している害虫といえるでしょう。

私は7月の下旬、マンションの部屋で飛ぶノシメマダラメイガの雌成虫を発見し、捕まえました。台所の食品などの発生場所を探したのですが見あたらず、どこから来たのか全くわかりません。普段は外に逃がしてしまうか、殺してしまうのですが、この1頭を飼育して、いったいどれくらいの卵を産み増えるのか確かめることにしました。

1頭の雌成虫から約200頭に増えた
1頭の雌成虫から約200頭に増えた

玄米の入った容器に蛾を入れ研究室に置き、時々観察しました。成虫は1週間後には死亡しました。ノシメマダラメイガの成虫は餌を食べないので短命なのです。10日程すると、容器の中で歩く幼虫が見えたので、ピンセットで取り出して数えてみました。幼虫は213頭もいました。1頭の雌が200頭以上の卵を産んだことになります。32日目からの2週間で175頭の成虫が羽化しました。最終的には、9月中旬までに192頭が成虫になったのです。

さて、もしこの1頭を逃がしてしまい、家屋内で増えてしまったらどうなったでしょうか。今回の観察で成虫になった192頭のうち雌は106頭でした。単純計算すると、この次の世代には成虫が2000頭以上になります。たとえ1頭でも捕獲して殺虫することは重要なことです。ただし、実際には、蛾が食べ物にたどり着けなかったり、餌の質が悪ければ今回のように増えることはないでしょう。

昆虫類は一般的にたくさんの卵を産みます。ノシメマダラメイガも昆虫の中ではそんなに子だくさんな方ではありませんが、油断は禁物です。

油断大敵
油断大敵

ところで、マンションのノシメマダラメイガはどこから来たのでしょうか?私の体に付いて研究室からやってきた、野外から部屋に飛び込んだ、のどちらかでしょうが、いまでも謎のままです。

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参考文献

  • 宮ノ下明大・今村太郎 (2009) 家屋害虫 31(2): 89-91.
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更新日:2019年02月19日