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コラム

2010.06.04 曲山幸生
スターのコクゾウムシと一発屋のコクヌストモドキ
コクゾウムシとコクヌストモドキ
コクゾウムシコクヌストモドキのどちらも代表的な貯穀害虫です。コクゾウムシは、イネ科穀類の大害虫で、象の鼻のような口吻で穀物の粒に穴をあけて卵を産みこみます。 孵化した幼虫はそのまま穀物の中で発育して蛹になり、成虫となって穀物から出てきます。 一方、コクヌストモドキは小麦粉などの穀類の粉を食べるので、粉を残さないように常に清掃しておくことがもっとも効果的な防除法です。

食品害虫サイトのコンテンツのひとつである「貯穀害虫・天敵図鑑」には、コクゾウムシコクヌストモドキのページもあります。2008年度の訪問数はどちらも約3万件で、大きな差はありませんでした。ところが、さらに詳細なアクセス解析を実施してみると、両者の間に明らかな違いがあることがわかりました。

訪問数と検索サイト経由の比率の関係グラフ
この図は、貯穀害虫・天敵図鑑に掲載されている全53種類の害虫類のページについて、2008年5月から2009年4月までの訪問数と検索サイト経由の比率の関係をプロットしたグラフです。
コクゾウムシノシメマダラメイガを除く大多数の害虫類は右上がりの直線の周りに分布しています。このデータからは、コクヌストモドキを含む、このグループに属する害虫類のページは検索サイトで検索されるほど訪問数が増加すると言えます。一方、コクゾウムシノシメマダラメイガのページは検索の影響が比較的小さいのですが、他の一般のサイトやブログなどを経由した訪問が多いことがそれを補っています。
私たちは、コクゾウムシノシメマダラメイガが社会によく定着しているということから「高浸透度害虫」、コクヌストモドキが属するグループの害虫類を「低浸透度害虫」と分類することを提案しています。


約3年間の毎月の訪問数を表したグラフ
この図は、コクゾウムシコクヌストモドキのページについて、2006年4月から2009年4月までの約3年間の毎月の訪問数を表したグラフです。
コクゾウムシコクヌストモドキのどちらのページへも、毎年夏に訪問数が増加するという決まった季節変動が見られました。
ただし、ほとんどの月でコクゾウムシのページへの訪問数が上回っています。訪問数はその時点での社会の注目度を表していると考えられますから、コクゾウムシのほうがコクヌストモドキよりもいつも社会の注目度が高かったのではないかと想像されます。1931年に高橋が、大害虫、注意害虫として挙げた5種の中に、コクゾウムシノシメマダラメイガはありますが、コクヌストモドキは入っていませんでした。

2008年度、コクヌストモドキのページへの訪問数を引き上げたのは、2008年11月の25,713件のためです。コクヌストモドキの同性愛行動を科学的に意味付けした論文が発表され、これをYahoo!JapanやNational Geographicが紹介し、これを見た人たちの一部が貯穀害虫・天敵図鑑も訪問したのです。もしこの一件がなければ、前のグラフのコクヌストモドキの点は、点線に沿って左下のほうへあったのではないかと想像されます。


スターと一発屋
高浸透度害虫と低浸透度害虫を分ける要因は、社会の注目度の積分値のようです。コクゾウムシは長年注目されてきたのに対して、コクヌストモドキはとても短い期間しか注目を浴びていません。
私は着実に活躍を続けるスターと一発屋を見るような気分になりましたが、みなさんはどのように感じましたか。


 
謝辞
今までに貯穀害虫・天敵図鑑をアクセスしてくださった方のおかげで、このような考察を展開することができました。たいへんありがとうございました。
今後も食品害虫サイトをご支援ください。



 
参考文献





 
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