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コラム

2013.6.28 宮ノ下明大
マンション周辺を飛ぶノシメマダラメイガ


ノシメマダラメイガという蛾には、食品に発生する特殊な害虫というイメージがあるかもしれません。しかし、とても身近な昆虫であることを、私は最近の調査で実感しています。
ノシメマダラメイガ
ノシメマダラメイガ
2年前の夏の夜、帰宅すると部屋に小さな蛾が頼りなく飛んでいました。もしかしたら、と採集するとノシメマダラメイガでした。研究室で飼育している蛾を持ってきたのかもと思いましたが、ずっと服に付いていたとは考えられません。すぐに台所のお米をはじめ乾燥食品をチェックしましたが、発生源は見つかりませんでした。
図 ノシメマダラメイガ用性フェロモントラップ
図 ノシメマダラメイガ用性フェロモントラップ
左:粘着面に捕獲された雄成虫、右:トラップ外観

ドアを開け家に入った時に、蛾も一緒に外から侵入したのではないか?マンションの周辺には、結構ノシメマダラメイガが飛んでいるのかもしれない。 そこで、ノシメマダラメイガ用の性フェロモントラップ(図)をベランダ2カ所と玄関先に仕掛けて、何匹の雄の蛾が捕獲されるのかを確かめてみました。
捕れても数匹程度だろうと予想したのですが、8日間でトラップ当たり、ベランダでは60匹以上、多い時は一晩で22匹、玄関先では49匹が捕獲されました(宮ノ下ら,2013:表)。私の予想を超えた数のノシメマダラメイガが、マンション周辺を飛んでいたのです。決して特殊な害虫ではありません。

マンション3階(ベランダ・玄関)に設置した性フェロモントラップへのノシメマダラメイガの捕獲数
表 ノシメマダラメイガの捕獲数
A:道路側、B:公園側、C:玄関先


昨年の10、11月に、非常勤講師を務める大学の講義の中で、希望する学生にトラップを配り、それぞれの自宅の屋外で調査をお願いしました。 全ての場所ノシメマダラメイガが捕獲されました(宮ノ下・佐野,2013)。あなたの周りにもノシメマダラメイガがいるはずです。

何処に居る?
では、野外のノシメマダラメイガは何を食べているのでしょうか?マンション周辺でその発生源を探してみたのですが、精米所や食品貯蔵庫はなく、さっぱりわからないのです。海外の文献を調べると、野外の発生源として鳥の巣、蜂の巣、ネズミやリスの巣に貯蔵された種子やナッツ、落下した乾燥リンゴが挙げられていました。日本では、コシアカツバメの巣から幼虫が1匹だけ発見された事例があります。しかし、本種幼虫が確かに食べていると特定された野外の発生源の報告は、私の知る限りでは見当たりません。

ノシメマダラメイガの野外での発生源を是非確かめたいのですが、現時点ではまだ謎なのです。 この蛾が自力で長距離を移動することは考えにくいですし、トラップに誘引される範囲も周辺に限られています。私達の身近な所に意外な発生源があるのでしょうか?

脚注:性フェロモン
雌が雄を誘引するために分泌する性フェロモンをタブレットに含ませ、粘着性を持った紙面に貼り付けたトラップで、雄のみが誘引・捕獲される。 今回使用したトラップは、飛翔性の昆虫を捕獲するための商品で、玄米貯蔵庫や食品工場に設置され,害虫発生の早期発見のために広く使用されている。
ノシメマダラメイガの性比は1:1なので、少なくとも捕獲された雄と同数の雌が発生していると考えられる。


 
参考文献
  • 宮ノ下明大・今村太郎・古井聡(2013)マンション周辺における性フェロモントラップで捕獲されたノシメマダラメイガPlodia interpunctellaの個体数と分布.都市有害生物管理3: 1-6.
  • 宮ノ下明大・佐野俊夫(2013)10,11月に屋外の性フェロモントラップに捕獲されたノシメマダラメイガPlodia interpunctellaの個体数-関東地方7カ所における2012年の調査-.ペストロジー28: 21-24.



 
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