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コラム

2013.10.04 宮ノ下明大
昆虫に対する忌避効果について思うこと


私の研究課題のひとつは、「食品への昆虫侵入防止技術の開発」です。日本の消費者の食品に対する清潔志向は非常に高く、昆虫の破片が食品に1個でも混入するだけでクレームになります。食品関連企業にとってクレーム対応に不備があれば、企業イメージの低下や製品回収につながり、大きな損害を受ける場合があるのです。

昆虫侵入
食品に対する昆虫侵入を防ぐには、殺虫剤を使えばいいと思われるかも知れません。しかし、殺虫すると死体が異物として残る場合もあります。そのため、昆虫を殺すことなく、寄せつけない効果のある忌避物質の利用が望まれ、食品容器や包装素材への応用が始まっています。

忌避効果
実は、忌避効果という言葉に対する評価は、非常に曖昧で困ることがあります。何%忌避すれば「効果あり」とする基準がないのです。科学の世界では、統計処理に基づいて有意に差があるという表現をしますが、それは現実の世界で実感される「効果あり」とは必ずしも一致しません。特に、1匹でもクレームとなる昆虫侵入の場合、期待される忌避効果は100%になりがちです。実際問題として100%忌避は不可能に近いことです。何もしなければ100匹侵入する条件で、50匹に抑えることが出来れば、50%の忌避効果となります。この数字を、半分も抑えたと考えるのか、半分も入ってしまったと考えるのか。食品の場合は、多くの人が効果は低いと考えるでしょう。

実験室で昆虫に対する忌避物質の評価をする場合、多数の昆虫を同時に用いて制限された空間での忌避の程度を判定することになります。そうしなければ、侵入という現象を効率よく再現できず、忌避効果を評価できないからです。こういう条件では、50%の忌避効果であっても、現実の世界ではこの数字以上の効果が期待できるかもしれません。一方、限られた一定条件の中で確認された忌避効果は、様々な条件が変化する現実の中では、全く効果がないかもしれません。

寄せ付けない
ある食品メーカーの担当者は、「昆虫忌避剤を用いて今より半分の確率で侵入を確実に回避できれば、それは十分な効果と考える」と話してくれました。あとの半分は、食品包装の改善や保管方法の徹底で補えば、さらに侵入率を下げることが可能だそうです。忌避効果50%の実験結果でも、「捨てたものではない」と私は考えることにしました。

100%の忌避効果は大変望ましいですが、私の知る限りこのような夢の忌避物質はまだありません。




 
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