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コラム

2013.11.18 宮ノ下明大
映画に見るゴキブリの不快効果と生命力


ニューヨークタイムズのサイエンスライターだったナタリー・アンジェは、『嫌われ者ほど美しい』というエッセイ本の中で、映画に登場するゴキブリについて次のように述べています。「短編映画でもアニメでも、ゴキブリはおおむね好感のもてるキャラクターとして描かれている。漫画に登場するゴキブリはミッキーマウスと同じようにいつもニコニコしていて、甲高い声で元気によくしゃべる。アニメでは害虫も友達なのだ」。

久しぶりにこの本を読み返した私は、”ん?ゴキブリって、そうだっけ”と疑問に思いました。例えば、『燃える昆虫軍団』(1975)、『ザ・ネスト』(1988)、『ブラッダ』(2000)のようなパニック映画に登場するゴキブリは、とにかく大量に出現し、観客に恐怖や不快感を与える存在として印象が強いからです。ゴキブリの姿には人に不快を与える効果(以降、不快効果と呼ぶ)がありそうです。『メン・イン・ブラック』(1997)では、様々なエイリアンが登場しますが、エイリアンハンターが最後に追い詰めたのは、ゴキブリ型のエイリアンでした。少なくとも、実写映画ではゴキブリは好感のもてるキャラクターとは思えないのです。
ゴキブリは好感のもてるキャラクタ

では、アニメーション映画ではどうでしょう。『モンスターVSエイリアン』(2009)は、地球由来のモンスターがエイリアンからの地球侵略に立ち向かうというコメディ映画です。ここで登場するモンスターのひとりコックローチ博士は、人間とゴキブリの遺伝子をかけ合わせる実験のトラブルで、ゴキブリ頭(体は人間)になった天才科学者として登場します。高らかな笑い声が特徴の楽しいキャラクターですが、これはコメディ映画ならではの設定と思われます。『ウォーリー』(2008)では、1匹のゴキブリが、汚染された地球を清掃するロボット(ウォーリー)のそばにいつもまとわりついています。このゴキブリには、不快な感じは特にありませんでした。
映画にゴキブリを積極的に使う理由は、その不快効果を期待しているからだと思います。アニメーションでゴキブリを描くと、虫のリアリティが薄れるため、不快効果も落ちてしまうでしょう。従って、アニメに登場するゴキブリは、はじめから好感のもてる役割を与えられている可能性があります。

アニメ-ションでゴキブリ出演

では、好感を持てるゴキブリの役割とは何でしょう?そのひとつは、「生命力の強さ」ではないかと考えます。いくら退治してもいなくならないゴキブリに、生命力の強さを感じることがあると思います。核戦争後の地球で生き残っている生物として、ゴキブリをイメージする人もいるでしょう。

映画『ウォーリー』(2008)で、人類は汚染が進み生物が絶滅した地球に、生命(環境)の復活の象徴となる植物を探査するロボットを派遣します。しかし、そのとき、ゴキブリは地球に存在していました。汚染された地球でその強靱な生命力をもって生き抜いたゴキブリは、生物の生命力の象徴として映画に描かれたのではないでしょうか。




 
参考文献
  • アンジェ,ナタリー(1998)嫌われ者ほど美しい ゴキブリから寄生虫まで (相原真理子・訳).302pp,草思社,東京.
  • 宮ノ下明大(2005)映画における昆虫の役割 家屋害虫27:23-34.
  • 宮ノ下明大(2011)映画における昆虫の役割Ⅱ 都市有害生物管理1:147-161.


 
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