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コラム

2013.12.9 宮ノ下明大
オレンジ色の翅を持つノシメマダラメイガ


7月のある夜、私は自宅ベランダに仕掛けたノシメマダラメイガ用の性フェロモントラップに捕獲される蛾の数を調査していました。 すると、たった今粘着面に捕獲された1匹の虫が、翅をパタパタさせています。 その虫の翅は明らかに赤っぽく、これは別の種類の蛾が捕まったのかなと思いました。 よく眼を凝らして見ると、確かにノシメマダラメイガなのです。 これまで多数の捕獲された虫を見てきましたが、こんな色の個体は初めてでした。 私は興奮して、「おお、これは珍しい!!」とつぶやきました。この夜に捕獲された他の7匹は、通常の色彩をもった個体でした。
性フェロモントラップに捕獲されたノシメマダラメイガ

通常のノシメマダラメイガは、前翅の内側半分は淡褐色、外側半分は赤褐色の下地に黒い斑紋のある模様をしています。今回の個体は内側半分も赤褐色だったのです(図)。前翅の下地全体がオレンジ色の個体ということになります。その後のトラップ調査でも、この色彩をもつ個体は全く捕獲されていません。

同種の昆虫はどれも同じに見えますが、色や形や大きさが個体ごとに微妙に違うのです。これを個体変異と呼んでいます。その他に、チョウ目の昆虫には、同じ種類なのに成虫になる季節で翅の色や斑紋が違う「季節型」や、特定の地域で発生する色や斑紋をもつ「地理的変異」が知られています。
変異

ノシメマダラメイガの翅の色や斑紋に、どのような変異があるかはまだ十分に研究されていませんが、いくつかの報告があります。翅の鱗粉がとれて透明な翅になってしまう「すかしば」、前翅全体が黒くなる「黒色化」、体と翅が黄色味がかった「黄色化」といった個体が、遺伝的に低頻度で出現することがあるようです。こういった変異を持つ個体がトラップ調査で捕獲される可能性はあります。

今回のオレンジ色の翅を持つノシメマダラメイガが、遺伝性を持つものか、病気などの何らかの理由によって現れた突然変異なのかは不明です。ただ、私にとっては単調な調査の中で訪れた「大当たり」だったのです。




 
参考文献
  • 宮ノ下明大(2013)赤褐色の前翅をもつノシメマダラメイガPlodia interpunctella
    ペストロジー28:123-124.


 
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