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コラム

2014.02.28 宮ノ下明大
ニューヨークに現れたヤマトゴキブリ


ゴキブリの多くは熱帯性ですが、日本の土着種で、北海道の野外にも生息するヤマトゴキブリは、世界でも最も北に分布するゴキブリです。昨年末にこのヤマトゴキブリがニューヨークの公園で発見されたというニュースがメディアで伝えられました。今回は、このニュースの情報源である論文を読んだので、紹介したいと思います。

ニューヨークにヤマトゴキブリ
2012年の春に、ニューヨークのハイライン・パブリックガーデンにある齧歯(げっし)類用の餌箱から生きているゴキブリ2匹が採集されました。アメリカで普通に見られるワモンゴキブリとは異なっており、その形態学的な特徴からヤマトゴキブリと同定されました。ヤマトゴキブリのアメリカでの発見報告は初めてのことで、著者らはDNAを用いてこの種類であるかをさらに確かめています。
誰と仲間

採集したゴキブリの中脚を取ってDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAの酵素(COⅠ)の塩基配列を決定して、すでにジーンバンクに登録されたヤマトゴキブリ3匹の塩基配列と比較しました。論文では、ワモンゴキブリ(22匹)、トウヨウゴキブリ(4匹)、コワモンゴキブリ(4匹)、クロゴキブリ(1匹)、トビイロゴキブリ(1匹)の塩基配列と一緒に系統解析をしています。解析した2匹の塩基配列は、いずれもヤマトゴキブリ3匹と一致し同じグループを形成しました。

この論文の一番の主張は、昆虫の体の一部分からでも(今回の場合は脚1本)、DNAの塩基配列を比較することで、種類を特定できることを示した点にあるのでしょう。形態からの特定は専門知識が必要ですし、判断に必要な体の部位が欠損していた場合には種類を特定できません。
ヤマトゴキブリは、アメリカに定着するか
日本のメディアは、日本土着の害虫がアメリカへ侵入したという珍しさと、寒いニューヨークでヤマトゴキブリが定着できるのかという点に興味があったのでしょう。実は、論文の中では、成虫数や幼虫の存在といった定着を推測できるような事実の記載はありません。ただ、樹木に近い遊歩道(木道)の下に多数見られたとあるので、この公園にはかなりの数が生息していそうです。著者らは、アメリカへの侵入経路として、観葉植物に付着して運ばれた可能性を挙げています。また、ヤマトゴキブリが低温に強い種類なため、アメリカに定着し、家屋に侵入するとやっかいなことだと警戒しています。

ヤマトゴキブリが果たしてアメリカに定着するのか、私も今後注目したいと思います。



 
参考文献
  • Evangelista, D., L. Buss and J. L. Ware (2013) Using DNA barcodes to confirm the presence of a new invasive cockroach pest in New York City. J. Econ. Entomol. 106(6): 2275-2279.


 
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