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コラム

2014.06.06 宮ノ下明大
つくばに現れたマツヘリカメムシ

2013年の10月下旬、出勤しようとマンションの外階段を降りていると、大型のカメムシが壁に留まっていました。見慣れないカメムシです。あとで名前を調べようと、携帯電話で写真を撮影しました。

マンションの壁に大型カメムシ
12月下旬になって、食品害虫サイト運営グループのメンバーである、曲山上席研究員から、「この虫何?」に映像が送られてきました。研究室内で発見したそうです。どこかで、見覚えがあります。そうだ、携帯電話に保存した写真のカメムシです。

『日本原色カメムシ図鑑』で名前を調べてみると、マツヘリカメムシという、外来性のカメムシでした。2008年に東京都で初めて採集されて以降、国内に分布拡大中の種類でした。近年、日本に侵入した新顔のカメムシが、つくばにも現れたのです。

このコラムでも、日本からニューヨークに侵入したヤマトゴキブリ海外から日本へ侵入したクロセスジハナカメムシを紹介しました。昆虫類の国内外への侵入は、私達の周りで現在進行形です。
図1 茨城県つくば市で採集されたマツヘリカメムシ

図1 茨城県つくば市で採集されたマツヘリカメムシ

そして、2014年1月、研究所の建物の壁面をゆっくりと歩くマツヘリカメムシを目撃しました。さらに、2月に2回と3月にも1回の合計6匹を発見しました。そのうち3匹を写真で示します(図1)。体長は18~20mm。体は赤みがかった淡黄褐色~黒褐色で、後脚のすねの部分の平たい突起物(葉状突起)が特徴です。つくば市では、2012年に発見の報告がありますので、現在、定着する途中なのかもしれません。

越冬をするマツヘリカメムシ
このカメムシは、カナダ、アメリカ、メキシコにかけて分布し、マツ科植物の種子や新芽の害虫です。冬季には、成虫が樹皮下、鳥類やネズミ等の巣、家屋に移動して越冬する生態が知られています。今回は、いずれも建物の外壁や室内で発見しているので、越冬していた個体と考えられます。

カナダでは、化学工場の壁面に、2,000匹以上の越冬集団が報告されています。日本では集団越冬の報告はまだないですが、個体数が増加すれば、今後は起こるかもしれません。その場合は、家屋に侵入する不快害虫として問題になるでしょう。食品へ混入する可能性もあります。

今回のカメムシの発生源はアカマツかも知れないと思い、研究所の周囲のアカマツを最近何度か調べたのですが、発見できませんでした。インターネット上の報告を見ると、マツヘリカメムシは急速に分布を拡大しています。



 
参考文献
  • 石川忠・菊原勇作(2009)北米産ヘリカメムシLeptoglossus occidentalis Heidemannの日本からの初記録.昆蟲ニューシリーズ12(3):115-116.
  • 石川忠・高井幹夫・安永智秀 編(2012)『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』.全国農村教育協会.
  • 宮ノ下明大・曲山幸生(2014)茨城県つくば市において冬季に建物で発見されたマツヘリカメムシLeptoglossus occidentalis,ペストロジー29:23-24.


 
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