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コラム

2015.11.27 宮ノ下明大
コクゾウムシ買います

コクゾウムシは、お米の害虫として有名ですが、普段の生活の中では滅多に見られなくなりました。しかし、玄米の貯蔵施設や精米所で調査すると、最も多く発見される昆虫であることが多いのです(松阪ら,2009)。見ることが難しくなった理由のひとつは、お米を袋詰め直前に色彩選別機に通すことで、黒いコクゾウムシは取り除かれているからです。


玄米貯蔵倉庫における貯穀害虫の発生数の割合


コクゾウムシは倉庫と野外を行き来して生活している

玄米貯蔵庫の害虫であるコクゾウムシですが、秋季には倉庫から野外に移動して、湿度の高い木片や石の下に集団で越冬します。春季になると越冬した場所から再び倉庫に戻っていくのです。大正末から昭和初期には、冬季に集団で潜伏しているコクゾウムシを一網打尽に捕らえる防除法が実施されました。


中林(1929)は、大阪府が大正15年3月に、倉庫周辺で捕獲されたコクゾウムシ成虫を買い上げて広域的な防除を行った事例を報告しています。買い上げは当時でも珍しかったようです。


コクゾウムシをお金と交換
この事業は、大阪府北河内郡穀物検査所の細川元治郎氏により予算が計上され、コクゾウムシ一匁、3.75gを20銭で買い上げることが決まりました(但し生きたものに限る)。
昭和初期の盛りそば1杯が10銭ということですから、いいアルバイトだったのかもしれません。
中林氏の調査によると一匁は、成虫約1610匹に相当します。

期間は、大正15年3月15日から29日までの15日間でした。その結果、16町村の役場で277人から買い上げを行い、総量は一貫五百五十一匁九分で約5.75kg、匹数にして約250万匹でした。買い上げは昭和3年の3月までは、毎年行われたようです。


大阪で大正15年に買い上げられたコクゾウムシ
短期間でこんなに多数のコクゾウムシを捕獲できるとは、驚きです。当時は、玄米の低温貯蔵庫が普及していない状況と思われ、コクゾウムシの発生数もかなり多かったと考えられます。現在、同じことをしてもこれほど多数のコクゾウムシを捕獲することは難しいでしょう。


松阪ら(2009)の茨城県の玄米貯蔵庫における害虫調査では、秋季と春季にコクゾウムシが活発に活動することが、トラップ調査で示されました。冬季には倉庫周辺で集団越冬するコクゾウムシも確認されています。規模は小さくとも同様の生態が現在も見られるのです。


冬は集まって過ごします


冬季に集団越冬したコクゾウムシ防除する方法は、今でも使える効果的な方法だと思います。私はこの冬、越冬しているコクゾウムシをこの目で確かめたいと思っています。

 
参考文献
  • 中林馮次(1929)冬季に於て穀象の駆除を勧む 昆虫世界,33:379.86-90.
  • 松阪 守・石向 稔・坂本新一郎・宮ノ下明大・今村太郎・中北 宏(2009)玄米貯蔵庫における貯穀害虫の季節的変動について.家屋害虫31:27-36.


 
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