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コラム

2016.11.29 宮ノ下明大
越冬コクゾウムシを探して

過去の文献を調べると、コクゾウムシは秋季に倉庫から野外の湿った場所に移動し、集団で越冬すると書かれています(コラム:コクゾウムシ買います)。
図column_999_01.jpg写真のコメント

具体的には、石や木片の下、積まれた瓦の間や下という事例が挙げられていますが、実際に越冬するコクゾウムシを見たことがある人は少ないと思います。実は私自身も見たことがありませんでした。 そこで、昨年(2015年)の12月に、茨城県の5カ所の玄米貯蔵庫に行き、その周辺で越冬するコクゾウムシを探してみました。

【石片、木片をひっくり返した】
探す範囲は、玄米貯蔵施設の屋外部分です。文献を参考にして石や木片をひっくり返してみようとしましたが、石や木片は数える程しかなく、瓦は今では全くありませんでした(現在瓦を使った倉庫はほとんどないと思います)。現在の貯蔵施設周辺の環境は、文献の当時とはかなり変化しているのでしょう。本当にコクゾウムシは見つかるだろうかと不安になりました。

【越冬するコクゾウムシ】
図column_999_01.jpg写真のコメント
図1 木片下で越冬するコクゾウムシ成虫(円内)
ある木片をひっくり返したとき、何匹かのコクゾウムシが目に入りました(図1)。
コクゾウムシを発見できて、目的を果たせたことにほっとしました。調査した5カ所の施設のうち、4施設でコクゾウムシを確認できたことは、越冬は今でも普通に見られる現象と考えられます。しかし、発見された匹数は、1、4、32、60匹と少数で、多数が越冬しているという印象ではありません。また、発見場所はコンクリート片の下が最も多かったのですが、コンクリート片は越冬場所として過去の文献には記述がありませんでした。

今回の調査は、石、木片、コンクリート片下の限られた場所を、20分程の短時間で行ったものです。現実にはもっと多数のコクゾウムシが越冬している可能性があります。更に調査範囲を広げ、周辺の樹木の樹皮下などを探すと見つかるかもしれません。

【玄米貯蔵庫周辺には多種類の害虫が越冬している】
図column_999_02.jpgのコメント
図2 木片下で越冬するガイマイゴミムシダマシ成虫(矢印)
コクゾウムシを探していると、ガイマイゴミムシダマシ(図2)、 コクヌストモドキコナナガシンクイムシノコギリヒラタムシも発見しました。コクゾウムシと同様に、倉庫から移動してきたと思われます。これらの甲虫類も野外で越冬すると文献には記されています。

12月に貯蔵庫の中よりも外の方が多数の害虫を発見できたことは、予想外の面白い経験でした。今回の調査では、玄米貯蔵庫に発生する蛾類はまったく発見できませんでした。蛾類の幼虫はどこで越冬するでしょうか?私にはまた新しい謎が生まれました。
図column_999_03.jpgのコメント
 
参考文献
  • 宮ノ下明大・今村太郎・古井聡・曲山幸生(2016)茨城県の玄米貯蔵施設屋外におけるコクゾウムシの越冬.ペストロジー31:65-67.


 
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