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コラム

2016.12.20 宮ノ下明大
マイルドな防虫効果を評価できるか

「効果はあるが目に見える程ではない」。これを「マイルドな効果」と私は呼んでいます。この効果は、昆虫忌避剤を用いた食品への侵入防止対策に当てはまります(コラム:昆虫に対する忌避効果について思うこと)。

【食品への昆虫混入を防ぐために】
食品に対する昆虫の侵入を防ぐために、その侵入経路を明らかにし、包装の密封性を高める方法はとても効果的です。しかし、包装のデザインや利便性を考えたとき、密封性の向上には限界があります。
図column_999_02.jpgのコメント
そこで、昆虫忌避剤を包装に付加することで、侵入のリスクをより下げようという試みがあります。単独では不十分でも、複数の手段を組み合わせて十分な効果を期待するのです。
昆虫忌避剤は揮発性のにおい成分であることが多く、その効果の作用範囲は狭く、有効期間も短いことが特徴です(コラム:植物精油の食品害虫への殺虫効果)。このことは防虫効果の点ではマイナスかもしれませんが、環境や人に優しいという点ではプラスと考えられます。

【昆虫忌避剤を付加した包装】
図column_999_01.jpg写真のコメント
食品への昆虫侵入防止対策は、今後さらに必要になると考えられます。しかし、昆虫忌避剤の付加はコストがかかるので進まないのが現状と思われます。そのコストを消費者が評価し負担できれば、忌避剤の導入が進むかもしれません。
消費者の本音はどうでしょうか?食品包装を改善した昆虫混入対策として、密封性向上と忌避剤付加の講義を法政大学でした後、学生に次のような質問をしてみました。  「あなたは、昆虫忌避剤を付加したようなマイルドな防虫効果を評価して、値段が少し高くてもその商品を選びたいと思いますか?選ぶか、選ばないかを答えた上で、その理由を述べてください(複数回答あり)。」この質問を2015年に26名、2016年に36名の合計62名に対して行いました。
【マイルドな効果を評価できるか】
値段が少し高くても選ぶと答えた人は29名、選ばないと答えた人は33名でした(表1)。私は選ばない人がもっと多いと予想していたので、この結果には驚きました。商品選択の大きなポイントは値段と思われますが、ほぼ半分の人が高くても選ぶと答えたのです。
 選ばない理由で多かったのは、「今まで昆虫混入の経験が無いから:9名」、「忌避剤は侵入を完全には防止できないから:6名」、「今の防虫効果で十分(包装がしっかりしている)だから:6名」、「家での保管を注意すればよいから:5名」でした。  選ぶ理由で多かったのは、「少しでも防虫できた方がいいから(安心したいから):10名」、「長く保管する商品の場合は選ぶ:5名」、「忌避剤は環境や人に優しいから:3名」でした。

表1 昆虫忌避剤を用いた防虫商品を値段が少し高くても選びますか?
図column_999_03.jpgのコメント

【防虫対策の情報提供を】
質問の回答は、食品への昆虫侵入対策に関連した情報を得た後の判断であり、もし全く情報がなかった場合は、「選ばない」と判断する人が多いと考えられます。そして、この結果は、消費者に防虫対策の知識(情報)を提供することが、忌避剤の導入のコストを補う可能性があることを示しています。現在、防虫対策を積極的に表示した商品は見当たりません。しかし、防虫対策の表示をすれば、それを評価し、値段が少し高くなっても購入する消費者がいると思います。家庭で長期間保管するため、昆虫侵入の頻度が高くなる商品はその候補になると考えます。


 
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