【豆知識】

コラム

食品害虫はどんなチョコレート製品を好むのか?

2017.08.18 宮ノ下明大

様々なチョコレート製品

チョコレートには、他の食材と組み合わせた製品がたくさんあります。例えば、チョコレートの中にミルク、ナッツ、ドライフルーツ、ウェハースなどが含まれた製品です。食品害虫にとっては、これらの様々な製品の中で、好き嫌いがあるのでしょうか?この好みを知ることは、チョコレート製品の被害のリスクや対策を考える上で意味があります。今回のコラムでは、食品害虫のチョコレート製品に対する好み(Begum, et al., 2007)について紹介します。

チョコレートに含まれる食材と食品害虫の種類

食品害虫の好みを調べる対象に選んだチョコレート製品に含まれる食材は、ミルク、ナッツ(アーモンド)、ドライフルーツ(レーズン・アプリコット)&ナッツ(カシューナッツ)、ウェハースの4種類です。

試験する食品害虫として、甲虫類の中からコクヌストモドキタバコシバンムシノコギリヒラタムシの3種類、蛾類からはスジマダラメイガの1種類を選びました。

試験した食品害虫

チョコレート製品への好みの調べ方

4種類のチョコレート(各70~80g)に、各々4種類の害虫の成虫(20匹)と卵(30個)を投入する2種類の試験を行いました。投入45日後に生存した幼虫と成虫の数を調べました。ただし、成虫の試験ではスジマダラメイガは行いませんでした。

ドライフルーツ&ナッツを含むチョコレートが好まれる?

試験した4種類の害虫は、チョコレート製品に投入後、45日の時点で生存したので、チョコレートの害虫といえます。しかし、害虫の種類によって生存数は異なっており、特にコクヌストモドキは生存数が少なく、最も被害が小さいと考えられました。また、スジマダラメイガは最も生存数が多く、被害が大きいと思われました。

成虫を投入した結果

食材への好みの点では、甲虫の成虫では、ノコギリヒラタムシはウェハースでの平均個体数が投入時の6倍以上になり、最も好まれました。一方、卵を用いた試験では、ノコギリヒラタムシスジマダラメイガはドライフルーツ&ナッツを好みました。特に、スジマダラメイガは、投入時の個体数の6倍になり、害虫として注意が必要です。
今回の結果の中で、ウェハースを含むチョコレート製品は、他の製品と比べ様子が違っていました。卵を使った試験では、成虫の時と比べて生存数が少ないのです。孵化幼虫にとって育ちにくい理由が何かあるのかもしれません。

卵を投入した結果

十把一絡げにできない

もし、チョコレート製品に生きた害虫が見つかれば、その混入時期の推定が要求されます。チョコレート製品への食品害虫の発育や被害は、混合される食材によって異なり、十把一絡げにできません。日本でチョコレート製品に混入する害虫の大部分は、ノシメマダラメイガです。この虫のチョコレートでの発育日数や羽化率については、私が調べた研究(宮ノ下他(2013)宮ノ下・今村(2011)佐藤他(2003))がありますので、過去のコラムをご覧ください。

さて、どこから食べようか
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参考文献

  • Begum, K, P. V. Reddy, B. C. Leelaja, Y. Rajashekar, S. Rajendran (2007) Studies on insect infestation in chocolates. J. Stored. Prod. Res. 43: 118-122.
  • 宮ノ下明大、今村太郎、古井聡、西田典由 (2013) 粒状アーモンドチョコレート製品におけるノシメマダラメイガPlodia interpunctella幼虫の被害と発育、ペストロジー, 28(2): 117-121.
  • 宮ノ下明大、今村 太郎 (2011) チョコレート製品でのノシメマダラメイガPlodia interpunctella幼虫の発育、ペストロジー, 26(2): 53-57.
  • 佐藤洋、白井保久、田中定典、今村太郎、宮ノ下明大 (2003) チョコレート製品に侵入するノシメマダラメイガに対する外装フィルム密封度の効果、日本応用動物昆虫学会誌, 47(3): 97-100.
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関連情報

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更新日:2019年02月19日