【豆知識】

コラム

キャラメル製品とノシメマダラメイガ

2018.03.14 宮ノ下明大

気になるキャラメル

食品売場でスナック菓子の新商品を見ると、「ノシメマダラメイガの幼虫はこれを食べて発育できるかな」と、手にとって原材料をチェックすることがよくあります。素朴な疑問が私の研究の出発点になることが多いのです。「キャラメル」は前から気になる商品でした。甘い香りがして幼虫が寄ってきそうだと思っていたのです。しかし、キャラメルに混入したノシメマダラメイガの事例は、これまで聞いたことがありません。何度かキャラメルの前で考えた末、気になるからやってみるか、と思ったのでした。

キャラメルに幼虫を放してみた

孵化して1日以内の小さな幼虫1匹を、キャラメル1粒の表面に放し、温度25、28、30℃、湿度70%の条件で、その発育状況を観察しました。毎日のように様子を見ていたのですが、幼虫はなかなか大きくなりません。しかし、死んでしまう気配もないのです。そこで、幼虫の確認を1カ月に1回にして、観察を続けました。

全滅した幼虫

ある日、キャラメルを確認すると、表面がべたつき溶けた状態になっていました。幼虫を探しますが見あたりません。もしかしたら、この溶けたキャラメルに接着したのではと思いよく見ると、死んだ小さな幼虫がくっついていました。試験期間のどこかで、湿度が70%より高くなった時があり、キャラメル表面が溶けたと考えられました。試験した部屋の湿度調節の不具合があったようです。今回の試験はすべての幼虫が死亡し、中途半端に終わりました。その後、湿度約80%の条件にキャラメルを置くと、表面が溶けてべたつくことがわかりました。

溶けたキャラメルには注意

幼虫の生存期間

この失敗にはがっかりでしたが、新しくわかったこともあります。本種幼虫は少なくとも25℃で93日、28℃で59日まで生存しました。また、25℃では3回の脱皮が確認された個体もあり、28℃でも1回の脱皮が確認され、速度は遅いが発育したと考えられました。もし、キャラメル表面のべたつきがなければ、もっと生存したでしょう。しかし、幼虫の大きさは玄米で発育した場合よりも、著しく小型でした。

混入時期の推定

キャラメルに生きた幼虫を発見した場合、幼虫が小さいからといって、最近混入したと考えると、間違いかもしれません。今回の結果は、25℃では3ヶ月、28℃でも2ヶ月は生存できる幼虫がいることを示しています。慎重な判断が必要になります。それにしても、キャラメルで幼虫は羽化できるのでしょうか?やっぱり気になります。

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参考文献

  • 宮ノ下明大(2017)キャラメル製品におけるノシメマダラメイガ幼虫の生存期間.都市有害生物管理, 7: 49-52.
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関連情報

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更新日:2019年02月19日