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日本への侵入が新たに確認されたクロセスジハナカメムシ
貯穀害虫が世界各国から日本に侵入し、定着してきたのと同様に、その天敵も海外から侵入してきます。
沖縄本島の精米施設や穀物貯蔵施設では貯穀害虫の補食性天敵のコメグラサシガメ、ケブカサシガメが見つかっていますが、これらは泡盛の原料のタイ米をタイから輸入する際に持ち込まれたものと推測されています。ちなみにこれら2種は日本では野外からは発見されていません。
本州では貯穀害虫の外来天敵カメムシの記録は見あたらなかったのですが、2009年に日本未記録の補食性カメムシが採集されました。茨城県の工場から見つかった体長2.2~2.4mmの微小なカメムシで、その後、関東地方を中心に多数が採集されています。本種にはクロセスジハナカメムシという和名が与えられました。このカメムシは流木やトウカエデの樹皮下でも採集されており、野外にも分布するものと思われます。
本種の屋内外の分布状況、発生動向に留意し、本種の与える影響に注意する必要があるでしょう。
(クロセスジハナカメムシの写真は伊丹市昆虫館の長島聖大氏に提供していただきました。お礼を申し上げます。)
参考文献
- 高橋敬一・M.V. Romero(2001)沖縄本島および石垣島における貯穀害虫およびその天敵相.昆蟲(ニューシリーズ) 4: 91-97.
- 山田量崇・中山恒友(2013)日本への侵入が初めて確認された貯穀害虫の天敵クロセスジハナカメムシDufouriellus ater (Dufour).日本応用動物昆虫学会誌 57: 185-189.
関連情報
- 図鑑:クロセスジハナカメムシ
更新日:2023年10月06日