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LWD種,去勢,130日齢,死亡例.2009年2月17日,豚胸膜肺炎が多発していた豚房にて,跛行と呼吸器症状を呈する肥育豚1頭が全身性チアノーゼを呈して急死した. 剖検では,心膜腔に黄褐色混濁したゼリー状物が充満し,心臓では,左右房室弁に黄白色カリフラワー状の疣贅物が付着していた.肺は一部肋骨胸膜と癒着し,後葉では直径2cmの白色結節も認められた. 組織学的には,心臓(提出標本)の疣贅物は,線維素,好中球を主とする炎症性細胞で構成され,特に僧帽弁では炎症性細胞の浸潤が顕著で,中心部に多数の細菌塊を含み周囲を変性した炎症性細胞に囲まれた化膿巣が多数観察された(図40).実質では,間質の毛細血管に細菌塞栓が多数観察された.細菌塊の周囲には,単核系細胞や変性した好中球が浸潤し,部位により棍棒体の形成や心筋細胞の壊死も認められた.同様の所見は,中枢神経,実質臓器,皮膚など全身性に観察された.観察された細菌はグラム陰性桿菌で,抗 Actinobacillus pleuropneumoniae 2型(App2)ウサギ血清(動物衛生研究所)を用いた免疫組織化学検査(SAB法)では陽性を示した. 細菌学的検査では,肝臓,脾臓,心臓,腎臓,肺,大脳,関節液からApp2が分離された. 以上から,本症例は豚の A .pleuropneumoniae 2型感染症(敗血症)と診断された.本症例の細菌塊を伴う疣状病巣の形成は肺からの波及,実質に観察された微小膿瘍は二次的に形成されたシャワー塞栓症によるものと考えられた. |
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