22 豚のPCV2による肉芽腫病変を含む線維化を伴う非化膿性間質性腎炎 〔山口博之(佐賀県)〕

 LWD,雌,7カ月齢,肉用,鑑定殺.母豚35頭,種豚5頭,肥育380頭を飼養する農場で2009年2月頃から,肥育豚で発育不良の増加が認められた.8月5日には肥育豚の約1/5に発育不良が認められた.原因究明のため,7カ月齢の豚2頭について病性鑑定を実施した.

 剖検では,腸間膜リンパ節が軽度に腫大していた.

 組織学的には,腎臓の皮質間質において軽度から中等度の線維化がみられ,リンパ球と形質細胞の中等度巣状浸潤が認められた(図22).また,一部に多核巨細胞,類上皮細胞及びマクロファージで構成される肉芽腫性病変が認められた.その他,心臓の心筋線維間に軽度から中等度のリンパ球浸潤が認められた.肺では,肺胞中隔に軽度のリンパ球浸潤がみられ,気管支・細気管支周囲リンパ組織は軽度に増生していた.抗PCV2家兎血清(動衛研)を用いた免疫組織化学染色では,腎臓の尿細管上皮細胞及び浸潤マクロファージの細胞質内が抗原陽性を示した.

 病原検索では,主要臓器で細菌検査を実施したが,すべて分離陰性であった.肺乳剤を用いたPCR法で, Mycoplasma hyopneumoniae 遺伝子が検出された.ウイルス検査では,腎臓,肺,脳のPCR法でPCV2遺伝子が検出され,PCV2型別PCRを実施したところ,すべて2b型に型別された.

 以上から,本症例を豚のPCV2 2bによる肉芽腫病変を含む線維化を伴う非化膿性間質性腎炎と診断した.腎病変は,線維化とPCV2陽性抗原が少ないことから慢性病変と考えられた.

豚のPCV2による肉芽腫病変を含む線維化を伴う非化膿性間質性腎炎