口蹄疫衛生管理を徹底し予防

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家畜
伝染病

牛、水牛、鹿、めん羊、山羊、豚、いのしし

特徴

口蹄疫口蹄(こうてい)疫は、口蹄疫ウイルスによって起こる伝染病。主に偶蹄動物が感染し、法定伝染病に指定されている。伝染力が非常に強く、2010年の日本の発生では292農場の約21万頭が感染し、約2,350億円の被害を与えた。

口蹄疫ウイルスには互いにワクチンが効かない7種類の血清型があり、北米や欧州、オセアニアを除く世界各国に分布し、アフリカとアジアでは発生が続いている。

発症動物は、口、鼻、蹄(ひづめ)、乳頭に水疱(すいほう)を形成し、発熱、よだれ、食欲不振、歩行困難などの症状を示す。水疱の中には大量のウイルスが含まれ、これが破れて周囲を汚染する他、唾液、鼻汁、ふん便、乳汁などからも排出される。感染動物や汚染畜産物、あるいは人や車両を介して伝染し、エアロゾルによる空気伝播(でんぱ)も起こる。

牛は口蹄疫ウイルスに最も感染しやすく、豚が感染した場合は牛に比べて大量のウイルスを排せつする。口蹄疫ウイルスは低温や中性のpH域では生存できるが、酸やアルカリに弱く、加熱処理や石灰、クエン酸、炭酸ソーダなどで死滅する。


対策

日本では法律に基づき殺処分などの防疫措置が取られる。本病は早期発見が大切で、疑わしい場合には直ちに家畜保健衛生所に通報する。

日頃から家畜の飼養衛生管理基準を守って農場の衛生管理を十分に行い、ウイルスの侵入を予防することが重要である。外国では不活化ワクチンがあるが、清浄国である日本では使用しない。

[写真:口蹄疫にかかった牛の舌 (宮崎県提供)]

(動物衛生研究所 森岡一樹)

参考情報

・家畜の監視伝染病 口蹄疫
・疾病情報 口蹄疫


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2012年9月26日、16面に掲載。

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