リフトバレー熱蚊のコントロールが重要

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家畜
伝染病

牛、水牛、鹿、めん羊、山羊

特徴

リフトバレー熱リフトバレー熱は、急性のウイルス性感染症で、わが国では牛、水牛、めん羊、山羊、鹿の法定伝染病に指定されている。また、家畜だけでなく人にも感染する人獣共通感染症である。本病は主にアフリカで散発的に発生が報告されている。2000年にアフリカ由来不顕性感染家畜の導入によりアラビア半島に侵入したことがあるが、わが国を含むその他の国々では発生がない。ヤブカ属とイエカ属の蚊によって媒介され、ウイルスを保有する蚊に刺されたり、感染動物の体液や臓器に接触したりすることで伝播する。

めん羊・山羊は牛より感受性が高く、成羊・成山羊では20~30%、幼獣では70~100%の致死率を示す。成獣では、発熱、嘔吐、膿様の鼻漏、血便を伴う下痢などの臨床症状がみられるほか、妊娠している場合には高率に流産が起こる。人では、インフルエンザ様の症状を示すが一般的に症状は軽いとされる。流産の多発や幼獣の死亡率上昇に加えて農場関係者におけるインフルエンザ様症状がみられた場合には、本病を疑う必要がある。


対策

有効な治療法はなく、流行地域では家畜に対する予防ワクチンの接種が行われることもある。生活圏や農場周辺の滞留水を排除するなどして、蚊の繁殖を防ぐ取り組みが公衆衛生上の観点からも重要である。現時点では本病の日本への侵入リスクはそれほど高くないと考えられるが、今後、気候変動により媒介蚊の棲息に適した高温多雨な地域が拡大した場合、海外からの本病の侵入も否定できない。

[写真:リフトバレー熱によるめん羊の流産
出典: Food and Agriculture Organization of the United Nations, 2003, Davies et al., FAO Animal Health Manual No.17 “Recognizing Rift Valley Fever”, http://www.fao.org/docrep/006/y4611e/y4611e00.HTM. (許可を得て転載) ]

(動物衛生研究部門 山川睦)

参考情報

・家畜の監視伝染病 リフトバレー熱


情報公開日:2016年9月14日

情報更新日:2021年3月15日

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