鳥アスペルギルス症胞子の大量吸入を避ける

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その他

鶏、その他家きん

特徴

鳥アスペルギルス症鳥アスペルギルス症は、アスペルギルス属の真菌(かび)によって起こる病気。主にかびが体内で増える「感染型」と、大量のかびを吸い込んで急性の呼吸器症状を示す「アレルギー型」の二つがある。

感染型は呼吸器症状を示すことが多く、肺や気管、気嚢(きのう)の病巣に加えて消化器系、角膜、皮膚、脳など全身に感染病変が認められる。アスペルギルスの胞子は土壌、空気、乾草、飼料、空調のフィルターなど、環境中の至るところに存在しているが、健康な鳥が少量の胞子を吸い込んでも発症することは少ない。発症には不適切な飼育管理や鳥の免疫力低下が影響することが多いが、一番大きな要因は一度に大量の胞子を吸引することである。

鳥類の中では猛禽(もうきん)やペンギンがかかりやすいとされるが、鶏、あひる、だちょうなど家禽を含めた多くの鳥類で発生している。


対策

本病の生前診断と治療は極めて困難であるため、「胞子の吸入防止」と「免疫力を低下させないこと」をポイントとした予防が大切である。アスペルギルス属のカビは湿度の高いところで増殖する傾向が強いので給水施設周辺の清掃を心がけると同時に、畜舎および飼料庫の雨漏りなどには気を付ける。かびの胞子は静電気でほこりに付着し、そのほこりを大量に吸入することで病気が発生しやすいため、かびの発生を抑える環境管理に加えて十分な換気をし、さらに鳥の近くでほこりが舞い立つ作業を行わないように心掛ける。

また、アスペルギルス症は人においても発生するため、作業従事者も胞子吸引を避ける装備が必要である。

[写真:アスペルギルスの顕微鏡写真。特徴的なネギ坊主状の形態が見られる(1ミクロンは1,000分の1ミリ)]

(動物衛生部門 花房泰子)


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2013年12月25日、16面に掲載。

情報更新日:2021年3月15日

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