牛の黄色ブドウ球菌性乳房炎慢性化すると難治性

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特徴

牛の黄色ブドウ球菌性乳房炎黄色ブドウ球菌による牛の乳房炎で、全身症状と乳房の状態に変化を認めない潜在性から激しい症状を示す臨床型があり、経過とともに症状が強くなる場合がある。潜在性乳房炎の場合でも乳量と乳質の低下をまねくことから、経済的被害が大きい。

黄色ブドウ球菌は感染分房や乳頭皮膚などに生息し、搾乳者の手指、清拭用タオル、ミルカーなどを介して他の分房や他の牛に伝播する。黄色ブドウ球菌は牛の生体防御機能に対する抵抗性が強く、本菌による乳房炎が自然に治癒(ちゆ=病気がなおる)することは稀(まれ)である。乳房内に侵入した黄色ブドウ球菌は乳腺上皮に付着して、さらに内部に侵入する。感染が進むと微細膿瘍が形成され、そこからの排菌によってさらに感染が拡がる。抗生物質等の薬剤は微細膿瘍の内部まで浸透しづらく、慢性化した乳房炎では治療が困難である。


対策

黄色ブドウ球菌性乳房炎の対策の基本は、搾乳時の適切な衛生管理であり、本菌による乳房炎が牛群内に起きないよう、また感染牛が増えないように予防することが大切である。泌乳期の臨床型乳房炎に対する抗生物質治療は治癒率が低いため、潜在性乳房炎の段階で発見し、治療することが望ましい。臨床型乳房炎に対しては、乾乳期に治療することで治癒率を高めることができるが、高経産牛、複数分房罹患牛、慢性的罹患牛に対する治療効果は低い。

[写真:小皿上に広げた乳の写真。正常な乳(上)。黄色ブドウ球菌性乳房炎乳(下)にみられる多量の凝集物は本乳房炎の特徴の一つである]

(動物衛生研究所 渡部淳)


情報公開日:2015年2月10日

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