小型ピロプラズマ病牧野のダニ駆除で感染予防

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特徴

小型ピロプラズマ病わが国で発生がみられる牛のピロプラズマ病の主なものにタイレリア・オリエンタリスによる小型ピロプラズマ病がある。本病は、古くから放牧牛で問題となっており、今も全国的に感染、発病が認められている。法定伝染病に指定されている「ピロプラズマ病」(2015年12月9日の記事参照)に比べ、病原性は低いとされている。

原虫はダニ(主にフタトゲチマダニ)の体内で増殖し、吸血を介して他の牛へ感染する。

小型ピロプラズマ病の主な症状は発熱、貧血、発育停滞などである。牛体内での原虫増殖によって貧血が進行し、重症例では可視粘膜は蒼白・黄疸を呈し、心悸亢進、呼吸速迫などを示す。放牧牛の原虫感染率は一般に高いが、死廃率は1%未満と高くはない。しかし、他の病原体との混合感染や分娩・強いストレスなどが原因となり症状の悪化や再発症がみられることがある。


対策

媒介ダニの駆除による感染予防と放牧馴致および早期発見・治療による発病予防がある。

フタトゲチマダニは、幼ダニ・若ダニ・成ダニの各発育期に宿主を替えて吸血する3宿主性のダニであり完全に撲滅することは困難である。効果のある殺ダニ剤を継続的に使用し、牧野のダニ生息密度を低く保つことが重要である。

本病に対するワクチンはない。治療は抗原虫剤の投与と補液や二次感染対策を中心とした対症療法が基本となる。発病牛は、安静を保ち、良質な飼料の給与を行う。

[写真:赤血球内のタイレリア・オリエンタリス(赤紫色の小点)(上)、草の上で宿主(牛)が来るのを待つフタトゲチマダニの成ダニ(下)]

(動物衛生研究所 寺田裕)

参考情報

・家畜疾病図鑑Web ピロプラズマ病 (2015年12月9日公開)
・家畜の監視伝染病 ピロプラズマ病
・成果情報2012年 薬剤および草地・放牧管理技術を組み合わせた効果的なマダニ対策技術
・動衛研研究報告第120号 東北における放牧と放牧衛生 H26.2
・動衛研ニュースNo.57 大きな牧場の小さな虫たち-小さな虫たちの大きな悪事 放牧と家畜害虫-


情報公開日:2016年1月13日

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