馬パラチフス隔離し汚染場所消毒

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届出
伝染病

特徴

馬パラチフス馬パラチフスは、ウマ科の動物に特異的に感染する特徴を持ったサルモネラの一種である馬パラチフス菌によって起こる馬の届出伝染病。妊娠馬が感染すると胎子の敗血症死の結果として流産を起こす。

流産は同一地区や同一厩舎(きゅうしゃ)で連続的に発生する傾向があり、伝染性流産として観察される。妊娠のどの時期にも流産を起こすが、特に妊娠後期に多発する。流産に先立って39~40度の一過性の発熱、外陰部および乳房の腫脹(しゅちょう)、乳汁の漏出などの症状が多い。当歳馬では感染後数日から2週間の潜伏期を経て発熱が1週間から1カ月ほど続き、多くは敗血症で死亡するが耐過することもある。

成馬では種牡馬の精巣炎の他に関節炎、キ甲瘻(きこうろう)などの全身各所の化膿巣や敗血症など、個体によってさまざまな症状が認められる。

感染馬や保菌馬から排出された菌は、飼料や水などを介して経口感染する。また、感染牝馬との交配によって牡馬が感染することもある。日本では過去に馬産地を中心に流行したが、現在は散発的に発生するのみで清浄化達成が可能な段階にある。


対策

発生時には、感染馬を隔離し、流産胎子や胎盤など流産馬の排出物を適切に処理するなど他の馬への伝播(でんぱ)を防止する。汚染された厩舎、通路、水飲み場、パドック、堆肥場などの消毒を徹底することが重要だ。

[写真:馬パラチフス発症馬のキ甲瘻(JRA競走馬総合研究所栃木支所提供)]

(動物衛生研究所 楠本正博)

参考情報

・家畜の監視伝染病 馬パラチフス


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2013年9月25日、16面に掲載。

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