豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルスの侵入防げ

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届出
伝染病

豚、いのしし

特徴

豚繁殖・呼吸障害症候群豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)はPRRSウイルスの感染による豚といのししの届出伝染病。母豚の繁殖障害と、子豚の呼吸器病という二つの症状が特徴だ。

妊娠豚は妊娠後期に早産や死産を起こし、死産胎子と虚弱な生存子が混在して生まれる。離乳前の子豚は肺炎により死亡する割合が高くなる。PRRSウイルスは免疫細胞に障害を与えて抵抗力を低下させるため、離乳後の育成豚でも細菌などの複合感染が起こりやすく死亡率が上昇する。

PRRSは1980年代に出現した病気だが、今では世界中に広がっており、日本でも約8割の農場にウイルスが侵入しているといわれる。ウイルスは感染豚の鼻汁や唾液、ふん便、尿、精液などの分泌液に排出され、口や鼻、傷口から感染する。感染豚との直接あるいは間接的な接触感染、飛沫(ひまつ)感染、空気感染、さらに交配により伝播(でんぱ)する。なお、人は本病には感染しない。

空気感染では4キロ離れた農場でも感染が起こった例が報告されている。感染した豚は数カ月間にわたりウイルスを排出し続けるため、注意が必要である。


対策

ウイルス清浄農場では農場にウイルスを侵入させないことが大切である。損耗率の上昇を防ぐためには、換気や飼育密度を抑えるなどの飼育環境の改善と日常の衛生管理が重要になる。

本病の治療法はなく、弱毒生ワクチンが市販されている。対症療法として、死流産を起こした母豚に対しては高栄養給餌と補液を実施する。

[写真:PRRSにより発育が悪くなった子豚]

(動物衛生研究所 井関博)

参考情報

・家畜の監視伝染病 豚繁殖・呼吸障害症候群
・疾病情報 高病原性PRRSに関する情報


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2012年1月25日、14面に掲載。

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