家畜伝染病

牛疫(rinderpest)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:牛、水牛、鹿、めん羊、山羊、豚、いのしし

1.原因

 

 Mononegavirales (目) Paramyxoviridae(科)Paramyxovirinae(亜科)Morbillivirus(属)Rinderpest virusが原因であり、本ウイルスは一本鎖のマイナスRNAウイルスで、大きさは約150 nm、エンベロープを有する。

 

 

2.疫学


 歴史的にはヨーロッパで最も恐れられた牛の伝染病である。18世紀北西ヨーロッパでは、本疾病によって約2億頭の牛が死亡した。近年の本病の発生地帯は東アフリカ、イエメンと西アジアである。2010年までに本疾病を世界から撲滅する計画がFAOによって策定されている。
 感染牛の排泄物の飛沫などに直接接触することで伝播する。牛でも品種によって感受性に差が見られ、和牛では特に感受性が高い。

 

 

3.臨床症状


 潜伏期は通常3〜5日(2〜9日)。41〜42°Cの高熱,食欲減退、沈鬱などの後、眼瞼腫脹、流涙や鼻汁は最初水様であるが後に膿様となり、口周囲の粘膜は充血し、さらに、口唇、口蓋、舌、鼻粘膜、膣粘膜等に広がり、潰瘍,糜爛へと続く。その後、背を弓なりにした姿勢をとり、血液や粘膜組織を含んだ激しい下痢を伴い、脱水症状で死亡する。症状を示した後6〜12日で死亡する例が多い。

 

 

4.病理学的変化


 消化管粘膜に出血性の変化(充出血、糜爛、潰瘍)、肝臓の褐色化(黄疸)パイエル板の腫脹、出血など。組織学的にはリンパ組織に多核巨細胞(好酸性の細胞室内および核内封入体)。消化管上皮にも巨細胞が観察されることがある。

 

 

5.病原学的検査


 ゲル内沈降法(ウサギ免疫血清)。RT-PCR(小反芻獣疫とも区別可能)、ウイルス分離(B95a細胞(Marmoset lymphoblastoid cell)、BK細胞、Vero細胞)、CF反応(ウサギ免疫血清)、蛍光抗体法など。

 

 

6.抗体検査


 モノクローナル抗体を用いた競合ELISA(小反芻獣疫とも区別可能)、中和試験、CF反応、ゲル内沈降反応など。

 

 

7.予防・治療


 汚染国では、山羊化弱毒ウイルス、家兎化弱毒ウイルス、家兎鶏胚馴化弱毒ウイルスおよび培養細胞継代で弱毒したウイルスを用いた生ワクチンを用いる。清浄国においては、発生国からの家畜の輸入禁止と検疫所における摘発が重要である。侵入した場合は早期に摘発淘汰を行う。日本への侵入に対し、家兎鶏胚馴化ワクチン株をVero細胞で増やした生ワクチンを動物衛生研究所で10万頭分製造し、国が備蓄している。口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に準じて防疫に当たる。有効な治療法はない。

 

 

8.発生情報


 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報


 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第3版(近代出版)

 OIE: Manual of Diagnostic Tests and Vaccines for Terrestrial Animals

 OIE: Terrestrial Animal Health Code

 OIE: Technical disease cards

 牛疫ウイルス感染牛からのウイルス排泄量の定量化:平成18年度 動物衛生研究成果情報


編集:動物衛生研究部門 疾病対策部病性鑑定グループ、文責:国際重要伝染病研究チーム 吉田和生

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