届出伝染病

ランピースキン病(lumpy skin disease)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:牛、水牛

1.原因

 

 ランピースキン病の病原体は、羊痘・山羊痘に類似したポックスウイルス科カプリポックス属に分類される。特に、Neethling ウイルスがよく知られる。羊や山羊には病原性がないといわれる。5〜7日目の発育鶏卵の漿尿膜上にポックを形成して、発育鶏卵でよく増殖する。BHKやVero細胞などの培養細胞などにも細胞質内封入体が観察される。

 

 

2.疫学


 発生はアフリカおよびマダガスカル島であり、近年クエート、イスラエル、イエーメンなどの中近東の国々にまで及ぶ。2000年の発生では、英連邦独立国モーリシャスおよびモザンビークで発生が報告され、数百頭〜千頭単位の感染があった。河川の流域や低地での発生が多く、季節的には多湿夏期に多いといわれる。主な伝播様式は感染牛の唾液との接触感染または唾液で汚染された飼料や飲水の接種による。機械的ベクターとして昆虫の介在も考えられる。アフリカでは水牛などの野生反芻動物が汚染源となる。感染率は5〜50%と高いが、死亡率は2%以下である。

 

 

3.臨床症状


 潜伏期間は2週間以下であるが、5週間と潜伏期間の長い場合もあるという。食欲不振、発熱のほか、全身、特に頚部、背側、脚部、外陰部などに数個〜数百個の結節が観察される。その他、泌乳量の減少や浮腫などが認められる。

 

 

4.病理学的変化


 初期には、発熱、食欲不振、鼻漏、流涎が認められ、発熱後48時間以内に多数の結節・発疹が体表や呼吸器、消化器、生殖器の粘膜に現れる。結節の大きさは0.5〜5cm。結節部が2次感染により壊死し、潰瘍となり、滲出液が固まり痂皮を形成する。軽度の病変は2〜3週間で治癒するが、回復までに3ヶ月以上かかる場合があり、回復後も痕跡が残る。肉眼的にはリンパ節炎とリンパ液の貯留による浮腫が乳房や胸部、腹部、四肢に認められ、ときに患畜が跛行する。

 

 

5.病原学的検査


 病変部組織乳剤の感受性細胞および発育鶏卵への接種によるウイルス分離、病変組織の好酸性細胞質内封入体の確認、電子顕微鏡によるポックスウイルスの存在。

 

 

6.抗体検査


 間接蛍光抗体法、中和試験。

 

 

7.予防・治療


 汚染国においては、培養細胞継代および発育鶏卵で弱毒した生ワクチンによる防圧が有効である。清浄国においては、発生国からの家畜の輸入禁止と検疫所における摘発が必要である。万一国内での発生が認められた場合には早期の摘発淘汰が必要である。
 有効な治療法はない。

 

 

8.発生情報


 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報


 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第3版(近代出版)

 OIE: Manual of Diagnostic Tests and Vaccines for Terrestrial Animals

 OIE: Terrestrial Animal Health Code

 OIE: Technical disease cards


編集:動物衛生研究部門 疾病対策部病性鑑定グループ、文責:国際重要伝染病研究領域 坂本研一

(平成24年6月29日 更新)

  1. 01 ブルータング
  2. 02 アカバネ病
  3. 03 悪性カタル熱
  4. 04 チュウザン病
  5. 05 ランピースキン病
  6. 06 牛ウイルス性下痢・粘膜病
  7. 07 牛伝染性鼻気管炎
  8. 08 牛白血病
  9. 09 アイノウイルス感染症
  10. 10 イバラキ病
  11. 11 牛丘疹性口炎
  12. 12 牛流行熱
  13. 13 類鼻疽
  14. 14 破傷風
  15. 15 気腫疽
  16. 16 レプトスピラ症
  17. 17 サルモネラ症
  18. 18 牛カンピロバクター症
  19. 19 トリパノソーマ病
  20. 20 トリコモナス病
  21. 21 ネオスポラ症
  22. 22 牛バエ幼虫症
  23. 23 ニパウイルス感染症
  24. 24 馬インフルエンザ
  25. 25 馬ウイルス性動脈炎
  26. 26 馬鼻肺炎
  27. 27 馬モルビリウイルス肺炎
  28. 28 馬痘
  29. 29 野兎病
  30. 30 馬伝染性子宮炎
  31. 31 馬パラチフス
  32. 32 仮性皮疽
  33. 33 伝染性膿疱性皮炎
  34. 34 ナイロビ羊病
  35. 35 羊痘
  36. 36 マエディ・ビスナ
  37. 37 伝染性無乳症
  38. 38 流行性羊流産
  39. 39 トキソプラズマ病
  40. 40 疥癬
  41. 41 山羊痘
  42. 42 山羊関節炎・脳脊髄炎
  43. 43 山羊伝染性胸膜肺炎
  44. 44 オーエスキー病
  45. 45 伝染性胃腸炎
  46. 46 豚エンテロウイルス性脳脊髄炎
  47. 47 豚繁殖・呼吸障害症候群
  48. 48 豚水疱疹
  49. 49 豚流行性下痢
  50. 50 萎縮性鼻炎
  51. 51 豚丹毒
  52. 52 豚赤痢
  53. 53 鳥インフルエンザ
  54. 54 低病原性ニューカッスル病
  55. 55 鶏痘
  56. 56 マレック病
  57. 57 伝染性気管支炎
  58. 58 伝染性喉頭気管炎
  59. 59 伝染性ファブリキウス嚢病
  60. 60 鶏白血病
  61. 61 鶏結核病
  62. 62 鶏マイコプラズマ病
  63. 63 ロイコチトゾーン病
  64. 64 あひる肝炎
  65. 65 あひるウイルス性腸炎
  66. 66 兎ウイルス性出血病
  67. 67 兎粘液腫
  68. 68 バロア病
  69. 69 チョーク病
  70. 70 アカリンダニ症
  71. 71 ノゼマ病

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