届出伝染病

破傷風(tetanus)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:牛、水牛、鹿、馬

1.原因

 

 破傷風菌(Clostridium tetani)による。本菌は、土壌、水中など環境中に広く分布し、偏性嫌気性、グラム陽性有芽胞菌群として特徴的なクロストリジウム属菌の一つである。運動性は活発で強い遊走能を示す。また、球形の芽胞を菌端部に作り、しかも菌幅より広いため特徴的な太鼓ばち状の形態を示す。外傷により感染し、体内で増殖した菌が産生する神経毒素により発症する。

 

 

2.疫学


 破傷風は、人獣共通の急性感染症である。家畜では馬が最も感受性が高いが、牛、めん羊、山羊、豚にもみられる。主に分娩、去勢、断尾などの後に発生する。

 

 

3.臨床症状


 本菌が生産する神経毒(テタノスパスミン)により、全身の筋肉の強直性痙攣を起こし、呼吸困難により死に至る。

 

 

4.病理学的変化


 特徴的な病変や病理所見は、中枢神経系をはじめ、その他の臓器についても認められない。

 

 

5.病原学的検査


 創傷部あるいは病変部の直接塗抹標本を、グラム染色あるいはギムザ染色すると太鼓ばち状の芽胞菌を確認する。菌の分離培養は、創傷感染部位を材料にして嫌気培養を行うかあるいはマウスに接種し、破傷風の症状を認めたマウスから菌を分離培養する。

 

 

6.抗体検査


 有効な抗体検査法はない。

 

 

7.予防・治療


 破傷風は、血中に十分な抗毒素抗体があれば完全に発症を防げる感染症であるため、過去に発生経験を持つ農場や汚染地帯では破傷風トキソイドの接種により予防効果が期待できる。

 

 

8.発生情報


 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報


 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第3版(近代出版)


気腫疽−1(原図:動物衛生研究所、浜岡隆文氏) 気腫疽−2(原図:動物衛生研究所、浜岡隆文氏)
写真1:斜面培地(VL-g寒天培地)の上端まで遊走した破傷風菌 写真2:太鼓ばち状芽胞を示す破傷風菌

編集:動物衛生研究部門 疾病対策部病性鑑定グループ、文責:細菌・寄生虫研究領域 大倉正稔

(平成29年9月21日 更新)

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