届出伝染病

鶏痘(fowl pox)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:鶏、うずら

1.原因

 

 鶏痘の原因である鶏痘ウイルス(Fowl poxvirus)は、ポックスウイルス科、アビポックスウイルス属の2本鎖DNAウイルスで、エンベロープを有し、エーテル耐性である。成熟粒子の大きさは330×280×200nmとウイルスの中では最大級で、形はやや丸みを帯びたレンガ状である。ウイルスは乾燥に対して抵抗性が強いため自然界で相当長期間生存し続けることができる。熱に対しては比較的弱く、一般の消毒薬で速やかに不活化される。

 

 

2.疫学


 気管や口腔、食道など粘膜に病変が形成される粘膜型では接触感染により伝播する。この型の発生は晩秋から春に多く発生する。夏にカやヌカカによる機械的な伝播による発生では、皮膚に病変が形成される皮膚型の鶏痘が起こる。鶏の潜伏期間はおよそ4日である。致死率は、粘膜型でやや高いが、2次感染がなければ低い。

 

 

3.臨床症状


 鶏痘は、鶏の種、齢、性などに関係なく一様に感染し、開口呼吸、鼻汁漏出、顔面腫脹などの症状を示し、皮膚には丘疹・びらん・痂皮を形成したり、粘膜にチ−ズ様物を付着させる。

 

 

4.病理学的変化


 組織学的には、皮膚や粘膜に形成された発痘部の上皮細胞は著しく腫大・増殖し、風船様に腫大した細胞質内に、巨大な好酸性リング状封入体(ボリンゲル小体)を形成している。皮膚型では、ブドウ球菌の二次感染により、表皮上皮細胞の壊死をみることが多い。

 

 

5.病原学的検査


 病変部乳剤を10〜11日齢発育鶏胚の漿尿膜上に接種し、接種3〜6日で漿尿膜の腫脹とポックを形成する。補助的にPCRで遺伝子型を同定することができる。

 

 

6.抗体検査


 抗体検査は本病では有用でない。鶏痘感染では、細胞性免疫と液性免疫が重要であるが、細胞性免疫検査は日常の応用はむずかしい。液性免疫では、中和試験、ゲル内沈降反応などがあるが疾病診断には有用でない。

 

 

7.予防・治療


 ワクチンにより予防する。弱毒生ウイルスの翼膜穿刺が基本である。接種後1週間ぐらいで善感(よく発痘している)しているかどうかを確かめる。

 

 

8.発生情報


 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報


 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第3版(近代出版)、鳥の病気第7版(鶏病研究会)

 OIE: Manual of Diagnostic Tests and Vaccines for Terrestrial Animals

 採卵用成鶏における全身性アミロイド沈着のみられた皮膚型鶏痘:平成18年度 動物衛生研究成果情報


編集:動物衛生研究部門 疾病対策部病性鑑定グループ、文責:動物疾病対策センター疾病診断室 中村菊保

(平成29年9月21日 更新)

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