トリカブト
トリカブトはトリカブト属(Aconitum)の総称
英名:aconite, monkshood
分布
日本に自生するトリカブト属は40種余りで,主なものにはエゾトリカブト(A. sachalinense F.Schmidt subsp. yezoense ( Nakai) Kadota),オクトリカブト(A. japonicum Thunb. ex Murray subsp. subcuneatum (Nakai) Kadota),ヤマトリカブト(A. japonicum Thumb. ex Murray subsp. japonicum),ホソバトリカブト(A. senanense Nakai subsp. senanense),タンナトリカブト(A. japonicum Thumb. ex Murray subsp. napiforme (H.Lev. & Vaniot) Kadota)などがある.
有毒成分
アコニチン(aconitine)およびメスアコニチン(メサコニチン,mesaconitine).
マウスへの皮下注射におけるLD50はそれぞれ 0.308 mg/kg および 0.213 mg/kg .人では2〜5 mgで死に至る.
アコニチンは,ナトリウムチャンネル蛋白のαサブユニットに結合し,ナトリウムチャンネルが閉じる(不活性化)のを抑制する.ナトリウムチャンネルの活性化とこれによる過度の脱分極により,興奮性の低下や疼痛伝達の抑制が起こる.また,海馬シナプトソームでのノルエピネフリンの吸収を阻害する.
中毒症状
口唇や皮膚の灼熱感,流涎,嘔吐,歩行困難,呼吸困難などがみられ,呼吸中枢麻痺によって死に至る.
馬の中毒例では,流涎,全身の筋の痙攣,疝痛,知覚過敏,頻尿,粘膜の鬱血後に貧血,呼吸困難などを呈し,最後には運動や呼吸の麻痺によって死亡した.また,少量のトリカブトを50日間にわたって投与した実験では,体重減少,消化管のカタール,心機能障害,四肢の冷性浮腫,赤血球抵抗性の低下などが観察されている.
診断法
植物中のアコニチンは,抽出物からアコニチンの結晶を形成させ,その形態から確認する(AOAC公定法).
血液あるいは尿中の,アコニチンなどのジエステルアルカロイドおよびその生体内代謝物の検出・同定には,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)(文献4)や液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)(文献5)によって分析しなければならない.
急性死することが多く,窒息時に起こりがちな出血と充血以外に病理学的著変はみられない.
文献
(最終更新:2005.1.11)